【いだちいけ】
どこか大らかな丘陵地形。
笠岡の野池群のひとつで、井立川のゆるやかな谷を堰いたシンプルな形状の溜め池。池を両側から大らかに包む丘陵地形が何ともいえない。左岸側の丘の上にはかさおか古代の丘スポーツ公園もある。展望台から井立池が見えないかと期待したが、微妙に見えなかった。それでも地形を堪能できたのでよかった。
洪水吐の形状がかわいい。
10年ぐらいまで笠岡の野池は黒々としたランカーバスで熱かった。井立池も実績のある池だったが2008年に工事で水抜き。それから10年以上がたつのでどうだろう。この日、風が強いだけでなく、地形的にジェットエンジンみたいに風が増幅されるのか、かなり厳しい状況だったので釣査はできなかった。
それでも見て楽しい池である。洪水吐の形状に何ともいえぬ愛嬌がある。
背が低すぎる鳥居。
いちばん気になったのは、池畔にあった「氷室宮」と記された石の鳥居。
氷室? 井立池で氷が取れたということだろうか。
それに鳥居のなんという低さ。腰をかがめないとくぐれない。
それに鳥居の奥に何もない。雑木林があるだけで道らしきものも見あたらない。これは不思議だ。
対岸の左岸側は昔の街道にあたるらしく民家が並ぶが、鳥居のあるこちら側は斜面だけ。
井立池に関しては2019年1月の市の公開資料で「井立池占用による太陽光発電事業者の内定について」というものがあった。この池の水面もメガソーラーになるのだろうか。溜め池の新しい時代の活用法として喜ばしいことなのだろうけど、どこか残念な気持ちも。この景観が好きなのだろう。
旧街道に沿って池岸にネズの木という旅人の休憩スポットも。以下は笠岡市のオフィシャルサイトから引用。
走出の井立池という大きな池の北西岸に、1本のネズの木が立っている。
推定樹齢300年以上。ネズ(ネズミサシ)は針葉樹でこの地方ではモロギと呼ばれる。堅くて香気があり、杭などによく使われた。
このモロ木の下を通る細い道は、走出から井原へと通じる街道だった。この木は、街道を通る人たちの格好の休み場所・目印になっていたことであろう。木の根元には、塞の神の祠がある。塞の神は、村の入り口に立って、よそから入り込んでくる恐ろしいものを防ぐ神である。
この山なみを見ているだけでも、いかにもいい溜め池が造れそうな匂いがします。まるみを帯びた大らかさ。山ひだ一つ一つの下に池が見えてきそうな。
マークした場所はスポーツ公園駐車場。