水辺遍路

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広川防災ダム(福岡県広川)

【ひろかわぼうさいだむ / 広川ダム】

湖岸の四ヶ所に釣りなどに適した親水護岸が。

釣りなどに最適な親水護岸が整備された防災ダム

広川は一帯の農地を潤すにじゅうぶんな水があるようである。川の名がそのまま町の名になっており、広川の恵みを享受してきた土地といえる。
農地は河川に設けられた頭首工(取水堰)から用水を得ているが、逆に豊かすぎる水が洪水となって地域に牙を向けることも少なくなかった。

広川ダムの堰体

広川ダムは貯水目的ではなく、流量を一定に保ちつつ洪水を防ぐ目的で造営されたアースダム。現地の看板や地図に「広川ダム」と記されているが、「ダム便覧」にも記載されている「広川防災ダム」というのが正式名称のようだ。
防災ダムは洪水時に水を受け止めるのが役目だから、ふだんの水位はかなり低い。水位が低いという特性を生かして親水護岸が左岸、右岸、ワンドにも設けられ、親水機能をあわせもっている。
防災ダムはその性格上、立入禁止のものも多いが、親水機能をもたせることで人々が惹きつけられる水辺を形成することもある。

広川ダムの立派な親水護岸。

九州内では佐賀県の河内防災ダムをはじめ、本州では群馬県の東谷砂防ダム、栃木県の黒川ダム、岐阜県の山田湖、兵庫県の洞川湖など砂防ダムを含む防災ダム系の素晴らしい水辺を挙げることができるものの、造成当初から親水機能を想定していたというよりは、釣り人などが入る現状をおおらかに認めているような感じであり、設計段階から立派な親水護岸が四ヶ所に用意されているということに驚きを感じる。
このフラットに整地された親水護岸がじつにいい。無断バーベキューこそ禁止されているものの、レジャーシートを広げて釣りをしながら文庫本を読んだり、お弁当を食べてみたくなる。

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500本の桜の下で陸っぱり。ボートは禁止

ボートや無断バーベキュー、花火は禁止されているものの、防災ダムで堂々とおかっぱりができるというのは何ともありがたいことではないか。
ワカサギ、ブラックバス、鯉のほかトラウト類もいるようである。雨がそぼ降るこの日、移動しながらスピナーベイトを投げつづけたものの、魚影および反応は確認できなかった。
春には500本の桜が咲くというので、いるかどうかは分からないが、桜の下でへらぶな釣りをいつかやってみたい。
湖畔に駐車場、トイレあり。
類名のダムとして和歌山県に広川ダムがある。

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水抜き状態の広川ダム

2022年11月撮影。



 

Googleマップ

マークした場所は駐車場。