巨大天然湖を堰くのは、日本最古のバットレスダム?
支笏湖の吐き出し側に堰体を設け、深さ360mの巨大天然湖をまるごとダム湖として利水しようという壮大さに驚くが、これが王子製紙という一企業が建設・管理を行なっていると知れば、明治時代の熱さを実感する。
堰体はバットレスダムと重力式コンクリートのハイブリッドのような重力式バットレスという、ひと味変わった形式。外見ではバットレスらしい格子組みは見あたらないものの、この堰体を日本最古のバットレス堰体とする説もある。なお堤高は日本におけるハイダムスペックを満たしていないので、ダムマニアにとってみればダムとして認められないかもしれない。
右岸側で取水された水は人工水路を通って水路トンネルに通じる。トンネルを抜けた先には調整池があり、そこからいっきに落差130mを駆け下りて第一発電所の発電機を回しているのだ。現在も現役である。
近代化産業遺産および土木遺産にも認定されているが、アプローチ路はゲートで閉ざされ立ち入り禁止となっていているだけでなく、国道や近くの道路を走っていても堰体はちらりと見える程度。位置の目安としては国道453が千歳川をまたぐあたり。
橋から支笏湖のある上流側を見やると、堰体のオレンジ色を見つけることができるだろう。ただ、よほど注意していないと見落としやすい。
堰体は、千歳側と国道453が交差するあたり(地図中央あたり)。橋からわずかに見える。また堰体アプローチ路のゲートは右岸側にある。