水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

相野々ダム(秋田県横手)

あいののだむ。
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かつて日本一のアースダム。

1961年の竣工時は、堤高40.8mはアースダムとして日本一の高さ。今でこそ20位に沈んでいるが、50m、60mクラスの巨大アースダムが1970年前後から各地で雨後のタケノコのように生まれるまで、他のどこでも見ることができない壮大な雄姿を誇っていたことだろう。
今でも見どころは随所にある。
まず堰体の前法面。石組みで垂直に切り立っている。アースダムとしては異色。淡路島で最大の貯水量を誇り、土木遺産にもなっている大城池が似た構造だった。

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bunbun.hatenablog.com

 

メルヘンな建物が隠蔽するアレ

古めかしい堰体とは裏腹に艶やかな水をたたえた湖面に、ビビッドなカラーリングと造形の取水塔が目をひく。
大型のアースダムで塔タイプの取水設備が設けられることはめずらしいことではないが、ひとつダム萌えポイントが隠されている。これだけ大きな貯水池ならあってしかるべき洪水吐が見あたらない。
よく見ると、取水塔の操作室の下あたりのスクリーンごしに、不穏なものが垣間見えるような・・。

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ファンシーな屋根と色で誤魔化されそうだが、目を細めてそれらをそっと頭の中で取り除いてみる。
すると、あな怖ろし。巨大なダム穴(グローリーホール)が口を開けているではないか。
岸の喫水線はダム穴の上端と高さが一致している。しかし、これだけ大きな池に対しては、さすがに処理力として小さすぎるようにも見えるが、過去にオーバーフローしたことはないのだろうか。
右岸側が相野々ダム公園として開放され、キャンプ場や休憩施設も併設。

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