激レアすぎる、アルファベット池名
カタカナ名をもつ湖沼は北海道ではめずらしくはないし、愛称レベルまで広げれば全国でもときどき見かけるようになった。今やそれほどめずらしいという感じはしない。
しかしアルファベットの池名となると話は違う。
現在のところ把握している限りでは、北海道の庶路ダムが「Green Lake 庶路」というアルファベット名をもち日本唯一ではないかと思っていただけに、静岡県に「A沢貯水池」なるものの存在を知ったときは目を疑った。
A沢って、いったい何ですねん。
まことA沢なるものがあるのか、いざ現地へ。
ベースキャンプは道の駅
A沢貯水池は、うれしいことに朝霧高原の素晴らしく設備の充実した道の駅を起点に、ハイキングでアプローチできる池なのである。
しかもこの池は登山拠点にもなっており、地元ハイカーにはよく知られている存在とか。果たして、実態は?
道の駅を出てワイナリーアプローチ路へ
さて徒歩で出発。道の駅を出て国道を横断した向かい側に、富士山ワイナリーへのアプローチ路がある。
この道は東海自然歩道の悪天候時の迂回路としても認可されているだけでなく、パラグライダーの送迎バスも通る。
アタック1日目
ワイナリー周辺は広い牧草地のようになっている。
アプローチ路はワイナリーの先でクルマ止めのゲートがあり、ここからは自転車か徒歩のみ。
フラットダート林道をA沢貯水池の方角へと歩いていく。
ところが山裾に沿ってぐるっと平原の縁をたどっただけで、道はそのまま国道に戻ってしまった。
A沢貯水池周辺の地形
この日は空撮で地形の把握を行ない、翌朝に再アタックをかけることにした。下の写真には翌日に池の横で撮影したものも含まれている。
アタック2日目
昨日はA沢貯水池の方角を意識しすぎて道を誤ったので、この日は東海自然歩道で根原の吊り橋方面をめざすことに。
なかなか一筋縄にはいかない
しかし、いきなり案内マップに惑わされる。下のマップ、「麓の吊り橋」と「根原の吊り橋」がたぶん逆。
この二つの吊り橋は方角が逆で戸惑ったが、道標の方は正しい道順を示してくれている。めざすのは北側の根原の吊り橋。
道がなくなった・・
登山路になったかと思いきや
そんな大げさな道とも思わず、軽装備で来てしまったが、ところどころけっこうスリリング。
と思いきや、平原に出てしまった。なんかもっとシンプルにこの場所に出られそうな気がしないでもない。
再び険しい道に
平原歩きも束の間、またもや登山路に。
根原の吊り橋
どんだけ山奥なのかと思っていたら、何のことはない・・橋を渡ったトラックも走れそうなフラットダート林道に合流。
フラットダートを進む
この林道も一応、東海自然歩道コースで間違いないようだ。
ここの分岐では道標にあった「本栖湖」方面を進むことにした。
また道間違い
と思ったら、また池が離れていく。
どこで道を間違えたのか・・。
「A沢貯水池」の名はホンモノか?
この池は上水道用の貯水池であることが、フェンスに取り付けられた看板から判明。形状は富士山麓にしばしば見られる人造感パキパキのタイプ。
空撮で得られた写真で見る限り底全体が見えるほどにフラットで、斜め護岸も含め全面的にコンクリートフェイシングされている可能性もある。
沢下の根原集落のための水道設備と思われるが、すでに「根原専用水道」は廃止したとの看板もあった。
池の管理は2020年現在、富士宮市水道部。
インレット側の辺に流入口、対向する辺に洪水吐、右岸側に取水設備がある。
池はフェンスで覆われ立ち入りできないので、空撮をしないかぎり湖面はほとんど見えない。ただ、インレット側のフェンスに穴が開けられており、ここから肉眼で湖面を見ることができた。
流入口の上流側200mのところに、もうひとつの水源池がある。
登山拠点としてトレイや案内標識も多いが、池の名前のヒントになるような標識類は残念ながら見あたらず、「A沢貯水池」の名がどこから来たのかは分からなかった。
アプローチ方法のまとめ
道の駅から東海自然歩道で根原の吊り橋を経由してのルートは歩きごたえもあり、なかなか楽しいものもあるが、分岐が多く道を何度も間違えた。このルートをとるならば道標に注意を配りながら歩くのがいいだろう。
根原の吊り橋以降、道標で本栖湖をめざしていくと、登山拠点であるA沢貯水池に着く。
じつはA沢貯水池からおよそ1kmの舗装路で国道の根原バス停に出ることができる。
ただしこの道も国道から300mほど入ったところで一般車ゲートがある。その手前に登山客用の有料駐車スペースもある。
池さんぽマップとGoogle マップ
マークした場所は、道の駅。地図の中央上よりの四角い池がA沢貯水池。