
日本一の池密な島なのに、天然湖沼はひとつもない?
ひとつの島に日本全国の10分の1もの池がある淡路島。その数、オフィシャルデータベースに登録されているものが9,300、小さいものや消失分も入れると2万3千とされるが、間をとって1万5千としても島の人口の10人あたり1つの池があることになる。市町村別では日本一位の密度。
そんな池まみれの淡路島であるが、昔からちょっと疑問に思うことがあった。
天然湖沼はひとつもない??

すぐ近くの小さい島には、天然湖沼が複数あるのに
友ヶ島水道をはさんで、淡路島からわずか4km弱の島には蛇ヶ池という天然湖沼(海跡湖)がある。この島にはさらにもうひとつ深蛇ヶ池という池まであり、隣の地島と神島にも無名の海跡湖が地理院地図に出ている。
また、淡路島からもっとも近い沼島(ぬしま)という天孫降臨神話の残る島は、島の名前もさることながら「こうろく池」という天然湖沼ベースと思われる池を確認している。



日本一大きい島の淡路島に、ほんとうに天然湖沼はないのか?
もちろんAIには訊いてみた。予想にたがわず「ない」との回答。そりゃそうだろう。AIはあくまで誰かが書いたものをネタ元にしている。誰も書いていないことは、間違っていてもそう言う。
2026年春の遠征の大きな目的として、淡路島の天然湖を確認するミッションを盛り込んだ。
地図をつぶさに見ながら、水辺遍路の池データと突き合わせる。それで、天然湖にいちばん近いかなーと思ったのが、ここ成ヶ島という砂州に囲まれた塩沼。


長い砂州に囲まれた「塩沼」
天の橋立のように長い砂州(成ヶ島)で外海と隔てられた、いかにも海跡湖っぽい地形が淡路市東部に。
ここは「淡路島南部成ヶ島周辺」として日本の重要湿地500にも選定されている。地図によっては「塩沼(えんしょう)」という記載も見られたが、これは固有名詞ではなく「塩性湿地」を意味する一般名詞のようだった。
海との開口部が二ヶ所に見られるが、流氷が入ってくるような大きな開口部があっても北海道のサロマ湖のように湖沼扱いになるケースもある。また、京都府の久美浜湾のように湾の名前でも湖沼として扱われるものも。そもそも本家・天の橋立で区切られた内湾でさえ「阿蘇海」という名前の海跡湖だ。淡路島の成ヶ島のケースとよく似ているではないか。つまりこれは、淡路島の唯一の天然湖沼の可能性大ではないか、なんて思った次第である。

いざ現地へ
「由良池」キターー!!!
まずこの海跡湖候補を俯瞰できる砲台跡公園へ。すると現地案内板に「由良池」の文字・・

いやいや、よく見れば「由良港」の見間違いだった。いやー、心拍数上がったー。
文字の入れ方が紛らわしいとこはあるものの、人間は自分の見たいものを見るとは、まさにこのことか。
いやはや、由良池、じつに萌えるネーミングなんだけどなあ。
高台から見えたのは
絶好の高台にも関わらず、木が邪魔でお目当ての海跡湖候補は見えず。そのかわり友ヶ島がよく見えた。島の灯台の下に蛇ヶ池がある。




空撮
強風だったのでチョイ上げで空撮。みごとな砂州。
開口部が二つで、ちょっと大きい。これを海と島と見るか、陸と海跡湖と見るか、微妙だ。

南側駐車場から
海跡湖候補(名前がほしい!)の南側湖畔に駐車場とトイレがあった。カイトサーファーたちが撤収をしているところだった。カヤックフィッシングなんかもできそうな感じ。
うん、ここから見ると海というより湖沼っぽいけど、池好きのみなさん、どうでしょう?



西岸側のヨシ群落
西岸側にはヨシ群落も。こうなると湖沼っぽさ倍増でがんすね。

第1回調査を終えて
個人的には「由良池」と呼びたい、海跡湖と思いたい。けど、ちょっと開口部が大きいので塩水湖かな。せめての思いを込めて「由良の塩沼」を仮称としてタイトルにした。この言葉をAI検索すると、フィットした情報だけが出てくるので仮称として不適切ではなさそう。
現地で何とか名前ぐらいは見つかるかと思ったけど、意外に手ごわかった。
それから・・。淡路島の天然湖沼について、じつはもうひとつ候補があることに気がついた。いかにも海跡湖という立地だし、形態にしろ地形にしろ、全国の海跡湖を見てきた経験上、これは! と思ったんだけど、農業用ため池として登録されていた深田池。
でも天然湖沼ベースの改造ハイブリッド溜め池だって日本にはいくつかあるので、あきらめずに調査継続。果たして日本一、池ダクな淡路島に天然湖沼はひとつもないのか?
Googleマップ
マークした場所は駐車場。