【おおにゅういけ / 竜王池】

レンタルサイクルで行ける無人島のパワースポット池
瀬戸内海に浮かぶ八幡浜大島と呼ばれる島群がある。定期船が一日三往復する有人島の大島をはじめ5つの島の総称で、大入池があるのはもっとも南に列する地大島(じのおおしま)。
周囲長500m級(2ha)、天然の海跡湖である大入池には、竜王池の別名があるように龍王神社が祀られ、夫婦の龍が棲むという池伝説がある。雨乞い、豊漁、航海安全の霊験あらたかな神様として、昭和時代には島外からも多くの参拝客を集めたと、島でガイドさん用に作られた資料にはある。
また、現在は日本から絶滅したニホンカワウソが1960年代まで30頭ほどが生息していた池でもある。
この神秘的な池に会うには、港のある有人島の大島から、ひたすら海岸沿いの細道を徒歩かレンタルサイクルで行く。3つの島が細い堤道で繋げられており、ひとつひとつ島をたどりながら池まで3.5kmほどのスリリングな道のりの最後に感動の光景が広がる。

大入池の形態と景観
成因タイプは海跡湖
三方を山に囲まれた内湾が砂州の発達によって陸封された典型的な海跡湖の形態を持つ。





龍王神社(海側)からのパノラマ

流出口
池からの水の流出口はない。

流入口
山側から池に向かって二本のやわらかな谷筋がみとめられるものの、川や沢にまではなっておらず、継続的な流入痕跡である砂の堆積なども見られない。
ただ、山全体が集水地形になっており、効率的に天水を集められているようだ。


大入池の地形
海面と湖面
海面と湖面はほぼ同じ高さに見える。
海と池を隔てる砂州は一番狭いところで40mほど。高さはあまりないが高潮などによる海水の浸入はなさそう。

北東側の浅場
地岸全周の中でビーチ状になっているのは北東側のみ。浅場が広がり、この一帯は水生植物が茂っている。池畔の土壌は土と礫が混じり灌木が茂り、半湿地状。
謎の魚影を目撃したのもこの岸。





ドアのないトイレ
昭和時代までは参拝客でたいへん賑わったという名残りか。

池畔の果樹園
朽ちた作業小屋も数件あった。


地大島の西岸側にも海跡湖の痕跡
海跡湖の痕跡が二つ。湿原化していた。

池伝説の奇妙な一致
対岸から島池に移り住んだという類似
大入池には、対岸の八幡浜側の「池浜」の池(現在は池は見あたらないが「池の浦」という地名が残る)に棲んでいた夫婦の大蛇が移り住んできたという伝説がある。また、八幡浜のやや内陸側にある保安寺裏の小池の大蛇が移り住んだという異伝もある。
八幡浜大島と同じく瀬戸内海に浮かぶ平郡島(へいぐんとう / 山口県)の蛇の池(じゃのいけ)にも、対岸の池(現在は池は見あたらないが、「池の浦」という地名がある)から島の池に移り住んだという伝説があり、ストーリーも池の形態も大入池に非常に近いものがある。
下の2枚の写真(左が大入池、右が蛇の池)を見比べると、海とを隔てる砂州や取り囲む山の形態、砂州堤の中央に神社が立っている点など、まるで兄弟池のようであり好奇心をそそられる。


龍王神社
大きな鳥居をくぐると、奥にもうひとつ小さな鳥居。その先には石橋で渡る小さな島に社が設けられている。








寺の裏の小池に棲む雄蛇
伝説において女に化けて漁師をたぶらかし島に渡って大入池に移り住んだ雄蛇がもともと棲んでいたとされるお寺はここ。
この寺の裏にある小さな池・・というけど、寺の裏は急峻地形でとても池がある立地には見えない。雨がすごかったのでこの日は撤収したが、日をあらためてお寺の人に話を伺ってみたい。
それにしても、寺の寄進者の筆頭の二名の苗字に「池」が入っているのは偶然か(笑)
寺の裏の小池というのは、何かの暗喩?




動植物と魚類
ニホンカワウソ(絶滅種)
大入池は、昭和時代に日本から絶滅されたとされるニホンカワウソの生息池だった。1960年代まで30頭ほどが生息していて、龍王神社の床下にはカワウソの糞がたくさん落ちていたという。
ニホンカワウソは愛媛県の県獣でもあり、立ち上がった姿からカッパのモデルともいわれる。イタチぐらいの大きさかと思っていたら、体長は1mを越えると知って、そんものが立ち上がったら、確かにカッパに見えてもおかしくないと納得。

魚影
当初はまったく魚影はないと思っていたが、小一時間ほど水面をにらんでいると、小さな泡づけがゆっくり動いている。その下に黒い影。決定的な魚影を捉えるべく望遠レンズを向けて、じっと浮上を待つ。しかし足がしびれて、ちょっと身じろぎしたときに踏んでいた玉石がジャリっと鳴った。
刹那、音もなく波紋の揺らぎを残して影は去った。ああ、やはり魚であった。
体調は30センチほどでさほど大きくはない。泡づけからフナかコイと思われるが、コイだとしたら姿を捉えられそうなもの。単独行動で他に魚影は皆無。オオウナギがいてもおかしくなさそうな池だが、動きが違う。過去に島ではコイの養殖を試みたことがあったそうだが、この池でのことかは分からない。
釣りをしてみようかと思ったが、感じるものがあり何となくやめておいた。あとで殺生戒の池だと資料で知った。ほっ。

貝
龍王社の島に落ちていた貝殻。池には生きている貝類は見あたらなかったので、どこのものか分からない。

植物








鳥類




イノシシ
池の周囲は果樹園になっておりイノシシの箱罠が多数仕掛けられている。

目の前の海でボラなど
海の方は魚影が濃い。しかし島の人に言わせると、温暖化による磯焼けでめっきり魚がいなくなったという。







参考資料


八幡浜大島「大入池」へのアクセス
八幡浜大島は5つの島からなる
八幡浜大島は大島、三王島、地大島、粟ノ小島、貝付小島の5つの島の総称で、定期船の船着場があるのが大島で、大入池があるのは地大島。大島から地大島までは三王島を経て陸路で渡れるようになっている。
また大潮の干潮時には、地大島と貝付小島はトンボロによって陸続きとなる。

出発港は八幡浜の道の駅
港が道の駅になっているので、前泊して朝イチの便をめざした。盛り場も近く八幡浜ナイトも楽しい。



大島行き定期船の待合所と時刻表




22分の船旅


大島の島影


大島の港に到着



池伝説をモチーフにした建築デザインの交流館
外観や天井にあしらわれた三角形の格子組みは、大入池に棲む龍の鱗をモチーフにしている。
ここでレンタルサイクル(電動)を1日200円で借りた。安すぎる。対岸の八幡浜だと3千円するのに!



道はずっとこんな感じ
海沿いの道しかない。道というより防潮堤の一部といった感じ。

三王島に渡る
軽トラサイズの橋、というか堤というか。


地大島に渡る
手すりもない。軽トラ、落っこちたことないんだろうか。


貝付小島を左に見ながら通過
この島は干潮時には砂州が島までつながる。

池畔への入口
この入口は池畔の果樹園に行くための小径。案内標識には「大入池」と記されている。もう少し海岸沿いの道を進むと龍王神社入口。

龍王神社に到着

八幡浜大島の産業
みかんの栽培と漁業の半農半漁の島だが高齢化が進む。磯焼けで漁獲量が減り、潮流が早いため海面での栽培漁業も難しく、後継者となる若者が育っていない。島の小中学校も廃校になったが、跡地でスジアオノリとアワビの養殖をしている。アワビは八幡浜の大手回転寿司チェーンにも使われているという話を聞いたので、探してみたがそれらしき店がなく、近くでは宇和島のスシローぐらいだったので行ってみた。エゾアワビがあったけど、エゾだから北海道産? それとも大島で養殖されたエゾアワビ?


マップ
現地案内マップ

ニッポン湖沼図鑑マップ
