由布島は現在でこそ、島に上陸すること自体に入園料がかかる観光専用の島になっているが、かつては人の日常的な営みもあった。
西表島が伝染病の猛威にさらされていたとき、病気を怖れてこの島で寝泊まりし、仕事のときだけ西表島に通う世帯が住んだそうだ。
疫病はマラリア。第二次世界大戦の八重山諸島では、空爆などによる戦死者のじつに二十倍もの人がマラリアで死んでいる。
現在でもマラリアによって世界では毎日、多くの死者を出している。その数は年間40万人(2018年WHO調べ)。新型コロナウイルスの影に隠れた惨状が、日々、くりひろげられている。