水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

山谷池(和歌山県橋本)

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「軽犯罪法で処罰」との文字も見える。

紀の川流域野池群のひとつ。
お隣の種池と同じ立入禁止看板が目を引く。選挙掲示板もなかなか味わい深い。池の構造としては屈曲した洪水吐もなかなか色っぽい。
立入禁止看板には「違反は軽犯罪法として処罰されます」と、かなり手厳しい。看板設置者は水利組合と警察署および水上安全協会なる組織の連名。
紀の川流域の野池群めぐりをしていると、釣りや立ち入りについて法律違反を明文化している看板にしばしばお目にかかる。おかげで、ふだんはあまり調べる機会もなかった刑法について考えるきっかけとなった。
例えば、この種池での看板に記されている軽犯罪法は、軽犯罪法第一条第三二号が典拠となっており(詳細は和歌山市の皿池のページに記載)、軽犯罪法においては特別の理由がない限り「逮捕」はできず、できるのは「拘留」か「科料(罰金)」という見解がある。
軽犯罪法における逮捕について調べてみると、

  1. 緊急逮捕が許されないことはもちろんであるが、被疑者が定まっ た住居を有しない場合又は正当な理由がなく出頭の求めに応じない ときを除いて、通常逮捕することができない。(刑事訴訟法19条1 項但書)
  2. 犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合、又は逃走するおそれがある場合を除いて、現行犯逮捕することができない。(刑事訴訟 法217条)

2を見る限り、立ち入りを禁じられた池への侵入については、現行犯逮捕はありえるのではないかという気もするが、軽犯罪法違反で拘留となるケースは稀ということで、通常は罰金が科せられる。
そういった意味でも、この池の看板に記されている文字が「逮捕されます」ではなく「処罰されます」という点で法的に正確といえそうだ。

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屈曲型の洪水吐。
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