水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

大美谷ダム(徳島県那賀)

おおみだにだむ。
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アーチも貯水池も美しすぎる秘境ダム。

こういう水辺に予定外に出会えたとき、言い尽くせぬ至福を感じる。
本来の予定では国道195号沿いのダム湖を拾いながら徳島側から高知の永瀬ダムへと抜けるつもりだったが、奥の奥まで行ったところでなんと国道が土砂崩落で通行止め。徳島市と高知市をつなぐ幹線ルートといっていい道なのに、平然と通行止めとなるあたり、さすが四国。
迂回ルート沿いには池もダムもないため、引き返すことにした。その際、ナビの地図でこのダムを見つけた。ただ、天気予報では強い雨雲が近づいている。山深く天候の急変もありえる。幹線道路でも全面通行止めとなる四国だから、それ以外の道はどんな状況か分からない。雲行きを見ながら、やばそうだったらすぐ引き返す覚悟で、大美谷ダムへのルートをたどった。
支流に沿って3kmほど山を登っていく道なのだが、沢との落差が小さいので走っていてプレッシャーはなく、1.5車線の舗装路も状態は悪くなく、走りにくくはなかった。
そして現れた水辺は、期待していなかっただけに驚きもあって息をのんだ。吸い込まれそうな水の色。湖岸の景観、赤い吊り橋も素晴らしいが、コンクリートの堰体は堂々たるアーチを描き、天候のことも忘れ、ほれぼれと眺めつくした。

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このダム堰体の完成は1960年。今、日本で現役で働いているダムでは最古のアーチダムは1953年に竣工した島根県奥出雲の三成ダムだから、そのわずか七年後に完成したことになる。

bunbun.hatenablog.com

ちょっとマニアックな話になるが、「現役最古のアーチダム」としては上記の三成ダムとする見方が大勢だが、砂防堰堤を含めれば、1939年に新潟県湯沢の大源太川第一号砂防堰堤が竣工し、有形文化財にも指定されている。

bunbun.hatenablog.com

アーチに話がそれたが、大美谷ダムは水力発電を行う広野発電所の発電用ダム。秘境の発電用ダムは立ち入りもままならないところが多いのだが、ここではうれしいことに釣りもできるし、堰体横に数台分の駐車場もある。

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対象魚はアマゴ。さぞかし美しいアマゴが棲んでいるのだろう。
入漁料必要。禁漁期あり。

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それでは、大美谷ブルーを写真でご堪能あれ。
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赤い吊り橋がよく似合う。
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マークした場所は駐車スペース。