水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

寺家ダム(石川県珠洲)

じけだむ。

能登半島最北のダム湖。シャープゲンゴの命は人より重い?

外来生物駆除を猛進させている珠洲にあって、市南部の小屋ダム湖とならんで最後のブラックバスの生息地となっている。とはいっても珠洲では、シャープゲンゴロウモドキを旗印として固有生物保護のため、外来魚はおろか、駆除の難しいアメリカザリガニの根絶をめざすほど徹底した外来生物駆除を行なっているので、このダム湖も早晩、駆除が完了するはずである。なんせこのダム湖のある河川は全長1km。全抜きさえすればイチコロだし、もし誰かがブラックバスを放流しようものなら罰金300万円、懲役3年という厳罰。これが殺人罪の法定刑期と同じ(2004年以降は5年)というのも、どうなんだろうという気がしなくもないが、麻薬で即死刑の中国を笑っている場合でもなく日本も案外おもしろい国である。
とはいえ、未来にわたって予期しえない生態系への影響を及ぼす可能性がなくもない違法放流に対して、一介の人間を殺すのと同じ罪を与えるというのは、地球レベルで俯瞰すれば発想先進国なのかもしれない。
ひとりの命は地球より重いのか・・はたまた、シャープゲンゴロウの命は人より重いのか・・。そんなことを能登最北のダムで叫ぶ、のであった。