水辺遍路

訪れた全国1万1,700の池やダムを独自の視点で紹介

佐織谷池(京都府舞鶴)

さおりだにいけ。

2015年の佐織谷池。奥側の池岸の木々がこんもりしている所が、行き倒れになった安寿姫を祀った社。

『山椒大夫』の安寿姫、終焉の地

アンジュとズシオウ。森鴎外『山椒大夫』のネタ元となった説話「さんせう太夫」は、人買いに拉致され奴隷にされた安寿姫と厨子王の姉弟兄弟の苛酷な命運と凄絶なる復讐劇である。
この池のほとりに眠るのは、弟・厨子王を逃がし、拷問を受けて入水自殺した安寿姫であるが、現地の案内板には拷問や入水とは異なる安寿の最期が記されており、それによると、逃げる途中に空腹で行き倒れになったという。案外そちらの方が史実なのかもしれないが、そもそも安寿姫と厨子王丸自体が架空の人物との説もウィキペディアには記されていた。では、この池のお墓は誰の?

現地の資料

池の奥にある休憩所



駐車場


アプローチ路入口

池には京丹後線のガード下をくぐり、集落の一番奥へと進む。




 

池の構造

堰体と洪水吐

池を一周できる遊歩道が付いている。

堰体下

谷戸の小さな集落が国道に向かってのびる。小さな中世城郭跡も。

取水設備

池の全景

魚影



 

アンジュの命日には千本のフロートキャンドルが水面に揺れる

姫の命日である7月には宵祭り(夜祭り)と称し、千本ものフロートキャンドルを池に浮かべて弔らいが行われている。
説話にある拷問シーンや、厨子王の復讐シーンは森鴎外の作品ではカットされている。映画化された『山椒大夫』は溝口健二が監督し、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞。また1961年には東映から劇場用アニメ映画『安寿と厨子王丸』が封切られた。


農業用のため池として全国ため池100選に選定。

池が築造されたのは江戸前期。海が近く河川には潮が交じるので農業に適さず、このようなため池がいくつも山部に造られ、今も現役である。
安寿と厨子王が生きたのが平安末期のことなので、半殺しにあった安寿姫が沼に身投げしたとか、飢餓と疲労で行き倒れになったのを沼のほとりに埋葬した話との整合はどうなの? と思うが、天然の沼沢をベースにして溜め池として改造したのが江戸時代と考えれば矛盾しない。
以下の写真は2015年。









 

舞鶴の地酒「池雲」

その名も「池雲」。酒蔵は舞鶴市街地の方ではなく、この池の近く。名前と関係あるのかな。



 

Googleマップ

マークした場所に駐車場・トイレ。