水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

大谷内ダム(新潟県津南)

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じつに地味ながら「日本一」。

1780mの堰堤長はダムとして日本一の長さをもつ大谷内ダム。しかしながら現地に行くと、想像とのあまりの落差に戸惑った。サイクリングロードをはじめ各種レクリエーション施設のあるグリーンピア津南が隣接しておりアクセス性もよい。しかし堰体に行き着く前に車止めのゲートがありそこからは徒歩。貯水池を見渡せる湖周路に出てみて、あれれっ?
すり鉢状のコンクリートの池。広いが変化もなく味わいもない。それはまあよしとして、日本一の堰体はどこだろう。貯水池の反対側だろうか。単調なコンクリート岸の湖周路を延々と歩いて反対側へ。ない。ダムがない。
なんのことはない。じつは最初からずっと堰体の上にいたのだ。貯水池をぐるりと取り囲むコンクリート岸がすべて堰体。だからふつうのダムをイメージして行くと、???になるわけだ。
このダムが位置する苗場山麓台地の土壌は浸透性が高く、溜め池を造るのに適していない。土地の農家にとって悲願の大規模な灌漑用ため池は、まさに岸をすべてコンクリートで取り囲むことによって実現したのである。

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堰体長の日本一はもうひとつある。

「堰体長」日本一というキーワードで、すぐに青森県の津軽富士見湖を思い浮かべた人はなかなかの湖沼マニアといえる。正式名は廻堰大溜池(まわりぜきおおためいけ)で、全長300mの木造アーチ橋も日本一。観光的にはこの「鶴の舞橋」の方が有名であろう。東北の観光ポスターや旅行雑誌などで見たことのある人もいるのではないか。この津軽富士見湖の堰体長は4200mで堂々の日本一。
なぜ日本一が二つあるのかというと、大谷内ダムは堤高15m以上の条件を満たした「ダム」としての日本一。一方、津軽富士見湖は堤高15m未満なので「ダム」ではなく「ため池」。よって二つの日本一が出てくるのである。

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ニューグリーンピア津南の宿泊施設
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日本一を誇ることもない地味な案内板
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津南の水辺マップ
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マークした場所はグリーンピア津南の駐車場。