水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

真木大堂の水辺公園(大分県豊後高田)


「仏の里」の豊かな水

国東半島は「仏の里」という言葉がぴったりの癒やしの空間。
まるくふくよかな形状の半島のいたるところに奇峰がそびえ、奇岩を生かした磨崖仏が見られる。里人を困らせる鬼や蛇を、頓智のような奇策で退散させる仏さまの伝承も、どこか滑稽でやさしさがにじみ出す。
真木大堂の横に見つけた水辺公園を足がかりに、南に3kmほどのところにある熊野磨崖仏へと足をのばしてみた。

2022年秋の再訪では、とりどりの案山子が
フラップゲート


 

赤鬼が一夜で築いた99段。

 昔、人食い赤鬼に悩まされる里人の願いをききいれた権現さまが解決にのりだす。赤鬼に、夜明けまでにこの場に100段の石段を築くことができたら、お前のすることを認めよう、という難題を出した。ところが赤鬼はあれよあれよという間に50段を積み上げた。このペースでは夜明けまでに完成してしまいそう。何か手を打たねばと考える権現さま。そうこうしているうちに99段まで積み上がり、もう最後の石を置くだけとなった赤鬼がほっと笑みをもらしたとき、夜明けを告げる鶏の鳴き声が響きわたった。赤鬼は「ああ油断した。悔しいが負けだ」と退散。じつは鶏の鳴き声は権現さまの仕業。この奇策によって村人を救い、99段の石段は今もなお参道として使われている。
類話は、西に10kmほどの宇佐神宮の蛇堀池にも見られる。ここでも夜明けまでに100段の石段という難題と、99段のところで鶏の鳴き声で逆転するという話の構造は同じだが、蛇堀池の場合は鬼ではなく蛇である。


熊野磨崖仏は南に3kmほど。


胎蔵寺から磨崖仏までは、人食い鬼が一夜で築いたといわれる99段の乱積みの石段をのぼる。


胎蔵寺の駐車場(無料)


石段への入口


99段の石段を上りつめた先には、熊野神社がある。


案内板


真木大堂の無料駐車場


マークした場所は真木大堂の駐車場。胎蔵寺は南に3kmほど。