水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

平伏沼(福島県川内)

へぶすぬまと読む。
平伏山(842m)の山頂近くにある窪地にできた小さな沼ながら、モリアオガエルの繁殖地として八幡平大場沼(岩手県)と並んで全国で2つだけの天然記念物指定の沼である。
流入河川および流出河川もなく、雨が降らなければ自然消滅してしまうこの池が現在の姿で残されたのは、周囲の広大な落葉樹林帯が道路等の開発を免れていたことが幸いしたといえる。

沼の名前は平安時代の征夷大将軍・坂上田村麻呂が蝦夷征討のおり、地元の豪族・大多鬼丸をこの沼のほとりまで追い詰め平伏させたことに由来するという。

この地区は詩人・草野心平の故郷であり、平伏沼を詠んだ歌碑が立っている。


  うまわるや森の蛙は阿武隈の
        平伏の沼べ水楢のかげ   草野心平


平伏沼へのアプローチは駐車スペースから遊歩道を180m歩く。沼も歩いて一周できる。
(調査日:2003年4月)


駐車(転回)スペース。クルマはここまで。


沼への遊歩道。ウイスキーらしきものを飲みながら歩くバイカーがいた。


草野心平歌碑。


沼から5kmほど北東の渓に川内岩魚の里がある。合わせて立ち寄りたい。
上から岩魚の刺身、岩魚酒、岩魚御膳。