水辺遍路

訪れた全国1万1,450の池やダムを独自の視点で紹介

お玉ヶ池(神奈川県箱根)

【おたまがいけ / 薺池(なずながいけ) / 奈津那ヶ池】

2023年3月撮影

入り鉄砲に出女。関所破りと、お玉という奉公少女の悲劇

元禄十五年(1702年)春、街道の石畳を途方にくれて歩くまだあどけない顔の少女がいた。
江戸の奉公先から逃げて箱根までやって来た。お国の伊豆に行くには関所を越えねばならない。しかし「入り鉄砲に出女」・・江戸幕府は箱根を抜ける女、子どもに厳しい目を光らせていた。人質として江戸に住まわせている外様大名の子女の脱出を防ぐためである。
ただ、お玉は大名の子女ではない。農家生まれの奉公人だった。

 

お玉の首を洗った「薺池(なずながいけ)」

通りすがりの人に聞いたのかもしれない。うら若い子女である。重い決意というほどでもなかったろう。彼女は関所を迂回するルートになっている屏風山を抜けようとして捕えられた。老若男女問わず、関所破りは極刑。
彼女は刑場ではなく捕まった現場にて打ち首となったとも、捕えられた一ヶ月後に獄門さらし首になったともいわれる。哀れに思った者が彼女の首を近くの薺池(なずながいけ)で洗ったというが、獄門であれば首に触ることも禁じられていたはずで、どれが本当の話か記録があるわけでなく、あくまで聞き伝えられてきた伝承とのこと。
ただ、いつからかこの池は「お玉ヶ池」と呼ばれるようになった。

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池の表情と形態

ミステリースポットとしても知られるが

どこかさびしげな表情の池である。
有名な心霊スポットとされているが、箱根旧道沿いでそこそこクルマの往来もあるせいか、日中は嫌な空気のようなものは感じたことはない。(写真は2013年と2015年)


増水時は遊歩道と湿原が水没

下界の池は雨不足で軒なみ大減水していたときも、この池は木道が水没するほど増水していた。(写真は2013年)




湿原

池の北岸と西岸が湿原状になっている。

流れ込み

池の北側(道路と反対側)にメインの流れ込み

こちらが一番大きな流れ込み。水路に沿って砂嘴状の湿原がのびている。


東側の流れ込み

下の写真で舗装路下を水路がくぐっている。右側が池。

西側の流れ込み

池の面積に近い湿原が形成されているが増水時には半分ほどが水没する。

流れ込みの先の池

流れ込みを200mほど標高差で10mほど遡ると、もうひとつの池がある。

道路側(南岸)の護岸と木道

自然石を並べた護岸は人為的なものだろう。

南岸の汀

遠浅でこの部分だけ土の浜となっている。





 

魚影と動植物

2015年9月

ひと足早い秋支度。赤とんぼが飛ぶ水面に、鯉の魚影が確認できた。
ブルーギルがいるという話もある。特に釣り禁止の看板があるわけでもないが、いまだこの池で釣りをしている人は見たことがない。

2023年3月



 

駐車場と遊歩道

駐車場

池の道をはさんだ側に未舗装駐車場がある。

池への降り口

写真は道路側からの降り口。記念碑が目印。

記念碑

遊歩道

お玉ヶ池増水時の迂回路も示されている。


増水時の遊歩道(2013年初夏)

遊歩道が完全に水没している。


 

マップ

現地案内板のマップ

箱根の池さんぽマップ