水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

エリア特集

笠間の野池群(茨城県)

笠間市には、およそ200の農業用ため池がある。 特筆すべきは笠間池をはじめ、霞ヶ浦から導水管によって揚水してきた水を貯めている池もある。こういった池は通常の流れ込みとは別に、導水管の流入工が見られる。マニアックな点だが、特徴的なものなので笠間…

南西諸島の島池めぐり(沖縄県)

南西諸島の池めぐり(ver.1)空路の時間は2019年時点のものです。 沖縄本島のダムと池 掲載している沖縄本島の池(橋でつながっている島も含む) 国営やんばる9ダム 久米島の池群 南大東島・北大東島の池群 沖縄本島のダムと池 米軍占領下で計画されたダム…

紀の川流域の野池郡(和歌山県)

野池が銀河のように一直線の帯状に連なる。 地図に主要な野池をプロットしてみて驚いた。紀伊半島をすぱっと南北に切り分けるかのような紀の川に寄り添うように、無数の池が帯状に連なっている。まるで野池の銀河。 特に岩出市から紀の川市にかけては、紀の…

久米島の池群(沖縄県久米島)

久米島。空港の少し先の平地上にカンジン貯水池が見える。 意外にも閉鎖性が強い池が多い。 沖縄諸島の最西端、本島から100kmの絶海に位置する久米島はサトウキビ畑と丘陵が広がる火山性の島。 島の名に「米」の文字が入るように、沖縄諸島ではめずらしく水…

山古志の棚池群(新潟県)

山古志の棚池では、半年ものあいだ棚池の上に積もる数メートルもの雪も直接水源になっている。 錦鯉生産日本一。養鯉池の数、最盛期にはなんと5千! 棚田を改造した棚池が8割を占める。 中越地震によって巨大な河道閉塞湖が出現。 河道閉塞湖と木篭(こご…

仙北・仙南平野の湖沼(秋田県)

市街地の歴史ある池から山上湖まで、さまざまな湖沼を楽しめるエリア。 秋田県の南の玄関口ともいえる湯沢と横手は、雄物川に沿って南北に長く広がる仙北平野、仙南平野に豊かな水辺をたたえている。これに北側の美郷町を加えたエリアは、じつに多様なタイプ…

志賀高原の湖沼群(長野県志賀高原)

2019年5月作成(ver3.0) 高原と山岳ハイキングでめぐる天然湖沼の楽園。 標高千メートルを越える志賀高原には70余の大小の湖沼がある。最大は大沼池で、次いで琵琶池。 志賀高原の水辺は、ドライブがてらに楽しめる琵琶池、丸池をはじめ「池めぐりコース」…

南大東島の池群(沖縄県南大東)

南大東の池マップ(水辺遍路謹製)ver1.1 絶海の孤島。怒濤の地形に生まれた奇跡の池群。 想像を越えた孤島の地形。 いうなれば、まん中がくぼんだスポンジケーキ。 地底で海とつながっている? 神秘のカルスト湖沼群。 意外な気候。 農業を支えるファームポ…

武雄・大町・江北の野池群(佐賀県)

九州随一の魅力を誇る野池群。 佐賀県の中央部に位置し、長崎本線と佐世保線の分岐点でもある肥前山口駅を擁する江北町と、その西につづく大町、武雄市に至るエリアは九州きっての好環境な野池群が広がっている魅惑の水辺フィールド。 南にむかってゆるやか…

海南の野池郡(和歌山県)

和歌山市の南側に位置する海南は、日本四大漆器にも数えられる紀州漆器の主産地であると同時に、タワシ、スポンジなど水まわりの家庭用品の大産地。水まわり用品では全国8割のシェアをもつというから驚いた。 水まわり用品に圧倒的な強さをもつ海南は、魅力…

氷見の野池群(富山県氷見)

氷見の野池群 ver1.1(2018年10月更新) ゆっくり過ごしたくなる好環境の水辺を有し、道の駅もゴージャス。 能登半島の付け根に立地する氷見エリアを代表する水辺公園は、なんといっても十二町潟水郷公園。駐車場、トイレ、遊歩道など、じっくりと水辺に憩え…

御牧原の野池群(長野県東御)

御牧原は河岸段丘上の台地。はるか20km離れた蓼科山腹の女神湖から導水した水を大小の溜め池に貯水している。 難産の末に生まれた信州一の野池密集エリア。 西にある上田の野池群は「塩田平のため池群」として日本ため池100選にも選定されている信州きっての…

両毛の水辺

群馬県と栃木県南部を網羅する両毛文化圏は、東西を北関東自動車道が貫き、南北は関越道、東北道が走る。北は赤城山からなだらかにつづく足尾山地が広がり、その縁に沿うように渡良瀬川が流れ、南に平行する利根川とのあいだに広がるエリアで、狭義には県境…

泉州の野池郡(大阪府)

大阪屈指の溜め池密集エリア。 大阪南部は古名で和泉地方、あるいは泉州とも呼ばれる。全国に泉州の名がとどろくのは、特産品の泉州水茄子。酒のつまみに最高である。 ここを北と南に分けて泉北、泉南ともいう。大阪平野が海と山に狭められて尽きる三角形の…

津・松阪・伊勢の野池群(三重県)

津の野池群 津の野池は中の島をもつ池がよく見られる。東日本の野池では水天宮を祀る目的で中の島を設ける事例が散見される程度である。これは何らかの文化的背景があると思われる。 津では「片田・野田のため池群」がため池100選にも選定されており今後、観…

亀岡の野池群(京都府亀岡)

昭和池→皿谷池に修正(ver.1.2) 立入禁止があまりにも厳しいのは、ダム決壊惨事のトラウマか。 野池巡礼には、なんとも難易度の高いエリアである。 まず、道路の近くにあるような池でも、特に市街地ではすんなり顔を拝ませてもらえるような池はほとんどない…

新城のダムと野池群(愛知県新城)

豊川用水を補完するダムと野池群。 東名高速道のライン上に大小の貯水池が点在する。数が多いわけではないが、これらの池は豊川用水東部幹線水路を支える水利ネットワークの調整池として活躍する裏方たちである。 ダムクラスの堰体をもつのは鳳来湖こと宇連…

東松山・滑川の野池群(埼玉県)

2018年ver2.1に更新谷戸を多く形成する丘陵地形は、ため池にうってつけの地形といえる 丘陵谷戸タイプの野池の密集度は関東一。 埼玉県の東松山、滑川、嵐山、小川エリアは台地と丘陵が織りなす谷戸がひしめく地形をもち、それぞれの谷戸が懐深くに二段、三…

仙台・利府の野池群(宮城県)

「杜の都」の台地に点在する憩いの水辺群。 仙台郊外にあたる利府には、ため池100選に選定された加瀬沼を筆頭に、なだらかな台地に立地するタイプの野池が多く見られる。これらの丘陵地はニュータウンの造成にもむいているため、宅地と農地が混在し、農業用…

十二湖(青森県深浦)

白神十二湖。 世界遺産・白神山地の一角にある33の天然湖沼群。 鬱蒼としたブナの森が広がる白神山地は、絶景鉄道で知られる五能線が走る日本海に向かって西斜面の裾を広げている。おおむねはなだらかな斜面であるが、崩山と日本キャニオンの二つの場所で断…

上高地の湖沼群(長野県)

国の特別天然記念物と特別名勝の「特別」ダブルタイトル。 穂高と焼岳の二つの百名山が構える山岳大伽藍の、いわば境内のような高原を縫って、梓川がいくつもの池沼をちりばめながら流れ下る。 縄文時代には上高地一帯は水深300〜400mにも及ぶ古上高地湖が広…

むつ野池群(青森県)

本州最果ての野池群。 下北半島の中核都市であるむつ市は、本州最北端の市でああると同時に、日本で初めてひらがな名を用いた市でもある。町は大型店も多く、地方都市の様相をもち、下北半島にこれほど大きな町があるとは思わなかった。 初めて訪れたのは200…

つくば野池群(茨城県)

多くの研究機関が集結する学園都市つくば。 その周辺の野池はバスポンドとしての実績も高く、へらぶなが自生している無名の池もあちこちで見つかる。 都市部にある池の多くは公園化されているが、一歩郊外に踏みだせば野趣あふれる里池に出会える。 特に筑波…

中濃の野池群(岐阜県)

豪快にうねる木曽川の中流域。肥沃で歴史的にも農業が発達した一帯は、丘陵の多い地形を利用した谷池タイプのため池がよく見られる。ここでは岐阜県の美濃加茂市を中心に関、各務原、可児、および愛知県の犬山まで、周辺を含めたエリアの水辺を概観する。 美…

東濃の野池群(岐阜県)

恵那山周辺の池(ver1.2)2019 恵那山に抱かれた、奇岩のあるおもしろい水辺景観が随所に。 名河川といえる木曽川と、古来から現代まで交通ルートとして重要な土岐川流域にまたがる内地が東濃と呼ばれるエリア。 全国に60余しかないダム湖100選の水辺を二つ…

胆沢扇状地の野池群(岩手県奥州)

日本最大の扇状地に点在する200余の野池と、2つの分水工。 奥州市の西側に広がる東北有数の穀倉地帯である胆沢扇状地には、「ダム」と名付けられたものも含め大小200以上もの野池が点在する。その扇形の要には、日本一の堤長を誇る胆沢ダムが控え、日本最大…

古都奈良の水辺(奈良県奈良)

千年の古都奈良を代表する水辺といえば、まず猿沢池を挙げないわけにはいかない。五重塔を水面に映し、七不思議や伝説を持つ。舟を浮かべる神事も行われ、情緒、歴史ともに厚みをもつ。周辺には大仏池こと二ツ池、荒池など古都風情に包まれ、鹿が草を食む池…

乗鞍岳の湖沼群(長野県・岐阜県)

手軽に逍遥気分で会えるクラス3000の山池群 百名山に名をつらねる乗鞍岳。山頂部にいくつもの峰を配し、三千メートルを越える最高峰・剣ヶ峰に抱かれた権現池をはじめ、火山由来の美しい天上湖が点在する。 深田久弥氏の『日本百名山』にも記されているよう…

いすみの野池群(千葉県)

房総で最大の222個のため池を有する野池天国。 自然と人の営みが織り上げたなだらかな丘陵に広がる田園。房総の野池群の中でも、特に密度が濃いエリアがいすみである。房総中南部でため池は「堰」と呼ばれ、いすみ市だけで222を数え千葉県でもっとも多い。 …

裏磐梯湖沼群(福島県)

明治時代の噴火で生まれた300もの天然湖沼群。 裏磐梯湖沼群は1888年の噴火で生まれた300以上もの天然湖沼群。噴火といっても溶岩流が成因というわけではなく、磐梯山の山体のひとつが崩落し、岩なだれとなって高原を襲った。ここにあった五つの村も呑み込ま…