水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

鏡ヶ池跡(栃木県宇都宮)

f:id:cippillo:20181128135220j:plain
メガドンキの駐輪スペースのかたわらに、ひっそりと立つ池の碑。

宇都宮中心街にあたる場所は、かつては湧水が豊富な湿地帯で池辺郷(いけのべごう)と呼ばれるほどだった。宇都宮七水という名泉のなかには、現役の酒蔵として活用されているものもあり、いつか七水めぐりもしてみたい。
一方、源義経の愛人・静御前にまつわる伝説も残る鏡ヶ池だが、現在はMEGAドンキの建物になっており、完全にロストレイク(消失湖)となっている。そのよすがはメガドンキ駐輪場のかたわらの石碑に刻まれるのみ。また、ドンキ屋上はフットサル場になっているが、その片隅にも池の碑があるという話。
国立国会図書館レファレンス共同データベースに、鏡ヶ池について栃木県立図書館からの以下の回答が掲載されていた。

f:id:cippillo:20181128135222j:plainf:id:cippillo:20181128135219j:plainf:id:cippillo:20181128135221j:plain


マークした場所は、鏡ヶ池の石碑のピンポイントな位置。

(※以下、国立国会図書館レファレンス共同データベースより引用)
「鏡が池」に関する静御前の伝承が記載されていた資料は、以下のとおりです。
・『宇都宮の民話』(宇都宮市教育委員会事務局社会教育課/編 宇都宮市教育委員会 1983)
p23「鏡ヶ池」に、静御前の伝承が収録されています。また、p24「亀井の水」にも、静御前の伝承があります。※参考文献の記載あり

・『しもつけの伝説 第6集』(栃木県連合教育会/編、発行1981)
 「静御前」に関する伝承は、「亀井の水」(p15-18)と「静桜」(p18-23)の2点収録されており、このうち「静桜」に「鏡が池」について記載されています。

・『宇都宮の歴史 増補新版』(徳田浩淳/著 落合書店 1979)
 p309-310に「静御前と鏡ガ池」の伝承が収録されています。

・田代黒瀧/著「宇都宮における静御膳の伝説」(『下野史談 第60号』(下野史談会/編、発行 1986)p13-16所収)
 「鏡が池」の伝承も含め、宇都宮に伝わる静御前の伝承が物語風に紹介されています。


 以下の資料には「鏡が池」に関する記述がありますが、静御前の伝承には言及されていません。
・『うつのみやの歴史再発見 日曜散歩』(塙静夫/著 随想舎 1994)
「「鏡が池」の碑」(p19-20)の記述がありますが、静御前に関する伝承は収録されていませんでした。なお、「七水の一つ 亀井の水」(p51-53)には、静御前の伝承が収録されています。

・『馬場町ものがたり なつかしのバンバと未来への夜明け』(宇都宮市馬場町町会誌発行委員会/編 宇都宮市馬場町町会 1981)
 佐藤茂/著「鏡が池の由来」(p36-37)に、「馬場鉄砲曲師三町のあたり」にあったという沼について記載されています。


なお、上記資料で名前の挙がった「亀井の水」ですが、江戸時代には「七水」と呼ばれる湧水の名所の一つでした。この「七水」については、以下の資料等に記載があります。
・『栃木縣史 第11巻 史蹟名勝編』(田代善吉/著 臨川書店 1972)p189-191
 ※下野史談会 1938刊の復刻版
・『宇都宮の歴史 増補新版』(徳田浩淳/著 落合書店 1979)p338
・『下野伝説集 追分の宿 改訂増補版』(小林友雄/著 月刊さつき研究社 1976)p122-124

 また、『しもつけの伝説 第8集』(栃木県連合教育会/編、発行 1984)p129-142にも「鏡が池」の伝承が収録されていますが、「那須郡小川町」(現・那珂川町)にある池に関するもので、上記の「鏡が池」とは違うものです。
(「レファレンス共同データベース」より引用)