水辺遍路

実踏・日本の湖沼 6,150湖

大徳寺のウグイ生息池(宮城県登米)

横川不動尊。
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全国のウグイファン必見。天然記念物ウグイが主役の地。

釣り人には渓流釣りの外道として敬遠されているウグイ。しかし、ここでは全国でもめずらしい、というより唯一? かもしれない国の天然記念物に指定されているウグイ生息地。
勘違いしてはいけない。天然記念物指定地にたまたまウグイが棲んでいるということではなく、ここに棲むウグイたちが天然記念物の主役! 人が与える餌にウグイが群がるというからウグイマニアにはたまらない。下の引用に至っては、格調高く漢文調だ。

不動堂ノ前庭ニアル小池ニシテ加茂川ニ通ズ
うぐひハ不動尊ノ使トシテ愛護セラレ特ニ毎年七月ヨリ四月ニ亙リ数夛ノうぐひ此処ニ遡リ餌ヲ投ズレバ群集シテ壯観ヲ極ム

大徳寺境内のこの池、名前はザ・「お池」。湧水を水源とする。境内には、他に、たな池、心の池の二つの池があるが、ウグイが乱舞するのはお池の方である。
周囲80mと庭池ほどの大きさだが、ここでは古くからウグイは不動尊の使いと信じられてきたため、参拝者があまりにいたく愛でるものだから、ウグイ本来の警戒心とか生態を越えて遺伝子の進化をもたらしたのか、そんな大げさな話じゃなくて単に調子にのっているだけなのか、いずれにしてもここでは固有種とでもいうべき「ウグイ様」スタイルを獲得したのである。

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池の水は久保川・中川・寺川といった横川の河川と通じており、産卵期になると「アカハラ」の呼び名のとおり腹を赤く染めた男衆を含めたお池のウグイ様たちは一斉に川へと下る。そんなことでお池だけでなくウグイ様たちが婚活するこれらの河川も含めての天然記念物指定の大盤振る舞い。とにかく、ここではあるまじきほどにウグイが主役なのである。

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しかし・・。心躍らせながらはるばる訪れてはみたものの、池はしんと静まりかえっている。個人的にはウグイマニアといえるほどではないが、それでも坩堝のごとくあまたの口をぱくぱくさせているウグイ衆が見てみたい。ふだんは貪欲なくせに素っ気ないウグイが、庭の鯉みたいに矜持をかなぐり捨てて、ばぐばぐしているところを見てみたい・・。
が、いないのである。一尾も。

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朝が早すぎたのだろうか。そういえば古都奈良で鹿と戯れようと思ったときも、朝が早すぎて鹿たちは営業時間外、じつにそっけなかったことが記憶に新しい。観光地の有名な動物らは、えてして営業時間にシビアなのだ。
それにしても、いくら池の中をのぞきこんでも、魚らしきものの姿がない。営業時間前というなら、それなりに準備というか待機ぐらいしているはずで、奈良の鹿だってそうだった。
訪れたのは五月である。記事にするまで三ヶ月も放置してしまったほど、落胆は大きかった。しかし今、あっけなく気づいた。
くだんの漢文調である。

特ニ毎年七月ヨリ四月ニ亙リ数夛ノうぐひ此処ニ遡リ餌ヲ投ズレバ群集シテ壯観ヲ極ム

四月から七月ではない。七月から四月という、あまりに長い期間のせいで気にも留めなかった。ありていにいえば、五月から六月の二ヶ月を除いては、という意味である。
この期間だけは、婚活のためウグイたちはみんな川に下り、お留守。
というわけで、ウグイ乱舞の写真はありません。ウグイファンの皆様、申し訳ありません。時節を改めて再挑戦したいと思います。

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たな池。
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心の池。
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大徳寺の参道入口と冠木門、山門。
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駐車場と案内板。
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マークした場所は駐車場。