コンクリートと木のハイブリッド土井?
上田の野池群は皿池タイプの池が多い中、大沢池は堤高15.3mのアースダムをもつ典型的な谷池タイプである。
沢の水を集めるためだろうか、他の上田の池とは水の色が違う。透き通る、まではいかないが透明感のある緑色。
おもしろいのは、池を構成する構造物。アースダムには洪水吐をまたぐ小さな木製の橋がかけられている。堤の向こう側は急峻な山の斜面につらなり、いちばん奥にはぽつんと水神の祠がたつ。
洪水吐はゆるくアーチを描く小堰堤が設けられているが、その向こうに取水ゲートが見える。この取水ゲートはコンクリート製だが、おもしろいことに木製の「笠木」がのっかっている。
笠木の中央にはゲートを操作する棒があるはずだが、ここではそれは金属製の鎖に置き換わっている。とはいえ上田のため池に昔から使われてきた「土井」の構造を、木とコンクリートのハイブリッドで再現している。昔から使い慣れているということで、このような方法が採用されたのか、それとも文化を残すためなのか。
アクセス路はかろうじて舗装された狭い林道。池の前後は未舗装。
関係者以外立入禁止の看板。
上田の野池マップ。