水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

大沢池(長野県上田)

f:id:cippillo:20170415115335j:plain

コンクリートと木のハイブリッド土井?

上田の野池群は皿池タイプの池が多い中、大沢池は堤高15.3mのアースダムをもつ典型的な谷池タイプである。
沢の水を集めるためだろうか、他の上田の池とは水の色が違う。透き通る、まではいかないが透明感のある緑色。

f:id:cippillo:20170415115338j:plain

おもしろいのは、池を構成する構造物。アースダムには洪水吐をまたぐ小さな木製の橋がかけられている。堤の向こう側は急峻な山の斜面につらなり、いちばん奥にはぽつんと水神の祠がたつ。

f:id:cippillo:20170415115337j:plain

洪水吐はゆるくアーチを描く小堰堤が設けられているが、その向こうに取水ゲートが見える。この取水ゲートはコンクリート製だが、おもしろいことに木製の「笠木」がのっかっている。

f:id:cippillo:20170415115336j:plain

笠木の中央にはゲートを操作する棒があるはずだが、ここではそれは金属製の鎖に置き換わっている。とはいえ上田のため池に昔から使われてきた「土井」の構造を、木とコンクリートのハイブリッドで再現している。昔から使い慣れているということで、このような方法が採用されたのか、それとも文化を残すためなのか。

f:id:cippillo:20170413172142j:plain


アクセス路はかろうじて舗装された狭い林道。池の前後は未舗装。
f:id:cippillo:20170415115334j:plain


関係者以外立入禁止の看板。
f:id:cippillo:20170415115339j:plain


上田の野池マップ。
f:id:cippillo:20170413140120p:plain