水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

鶴思慕池(愛知県日進)

つるしぼいけ。鶴思慕上池。
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エメラルドグリーンの湖面が心に残る都市圏の水辺として、愛知県の景観資源600に選定されている。
訪れた際は、アプローチ路入口が分かりにくく、その入口もクルマ止めで閉鎖され案内板や駐車スペースもないため、一度は通り過ぎてしまった。
オートバイで出直してみるとアプローチ路入口にはクルマ止めのところに水道企業団が立てた関係者以外立入禁止の看板があった。

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エメラルドグリーンの水に定評があるが、訪れたときは曇天のためかエメラルド感はなく、やや鶯色に白濁した感じだった。水源は湧水とのことで、確かに流れ込みらしきものは確認できない。
堰体のかたわらに、平成になってからの比較的新しい改修事業看板があり、そこには「鶴思慕上池」と記されている。では下池はどこにあるのかというと見あたらない。一般的には「鶴思慕池」と呼ばれている。
それにしても、鶴が思慕する池とは何と民話的な響きであろうか。けっして覗かないでくださいという戒めを破ってしまう破戒破滅型ストーリーの原体験「鶴の恩返し」を思わずにはいられない。
事業看板の横に立つ古い石碑に刻まれた文字を見ていて、気がついた。
どう見ても、「鶴慕堰堤」に読める。

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「鶴が思い慕う」であれば哀愁きわまりないが、これが「鶴田さんが慕う」だといたって個人的な話というか、それを池の名前にしてしまう鶴田さんの身勝手ささえ感じてしまうから、一文字といえども侮れないものがある。