たこのてぶんすいこう。
想いは一筋、流れは蛸の手。
胆沢平野の田園地帯の中に設けられた円筒分水池。
一本の水路が二本に分岐する場所に設けられている。水争いが激しかった歴史をもつ地域でしばしば見られる分水工だが、円筒分水はもっとも公平に水を分配できる仕組みである。
蛸の手という名にしては流れ出しは二門しか確認できなかった。円筒分水ならば五門でも六門でも公平分配が可能だが、わざわざ二門のためにこれだけの大がかりなものを造ったというのは、それほど厳しい水事情だったと想像される。
胆沢平野土地改良区のホームページでは、円筒分水の解説のなかに「胆沢平野小唄」の一節が紹介されている。「想いは一筋、流れは八筋」という節に、あるいは蛸の手という名への思いが込められているのかもしれない。
円筒分水の醍醐味ともいえるサイフォン式は採用されず、シンプルに吐き出し口が円筒の中央に注ぎ込まれる構造。
同様の構造をもつものとしては下九沢分水池(神奈川県相模原)が代表例といえるが、近づくことができずフェンスごしに遠目に見るしかない下九沢と違って、蛸の手分水池は周辺が親水公園として整備されており、まぎわで水の圧力を感じることができるのが魅力。
駐車場あり。
マークした場所は駐車場。