水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

下月輪池(滋賀県大津)

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立場(たてば)とは、街道を行き交う人々がちょっとひと休みするような場所。後ろが
池だが干上がって、かつての名勝の面影はない。

大津は東海道五十三次の53番目の宿場町であり、徒歩で五十三次踏破をめざすトウカイダーにとっては、ゴールの京都に向けて最後チェックポイント。心弾む道中のはずである。
この日の池めぐりは市街地戦となるため折りたたみ自転車ブロンプトン号を投入したが、池めぐりの途上、どこか懐かしい町なみだと思ったら、旧東海道筋だった。
三十代のときにランニングで東海道五十三次をやったとき以来。なるほど、リュックを背負い地図を片手に歩く初老の夫婦は、間違いなくトウカイダー。
下月輪池はちょうど旧街道のルート上にあり、池のほとりには「東海道立場(たてば)跡」の石柱が立っている。かたわらの交差点ではクルマが行き交い騒がしい。
トウカイダーにとっては、こういった石柱や石碑はけっしてはずせない撮影ポイント。池の方を見ていると、やはり石柱の前で立ち止まりスマホをかざしていた。
池の方にも気付いてくれるかなと思ったが、石柱の撮影だけで行ってしまった。この一見、荒地のような場所が、江戸時代の旅人たちの心を癒やした風光明媚な月輪池だったことに気付く人はどのぐらいいるのだろう。
兄弟のように並ぶ山ノ神池は、無料駐車場もある公園が隣接。
江戸時代には、山ノ神池、下月輪池と少し離れたところにある月輪大池と合わせた三つを「月輪池」として名勝であったという話もあり興味深い。

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東海道五十三次ゆかりの一里塚や石碑も多い。「蔦屋版東海道五十三次」の草津宿から。町散歩も楽しい池めぐりができる。


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洪水吐や斜樋もあり、溜め池の設備は保たれている。


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駐車場と案内板。


マークした場所は駐車場。