水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

然別湖(北海道鹿追)

しかりべつこ。

「湖底線路」というネーミングがGoogleマップに掲載されたことから人気沸騰スポットになった然別湖。(2023年8月撮影)

宝石のような固有種を生みだした道央の天然湖

然別湖の誕生はカルデラ湖とも火山性の堰止湖ともいわれ定説は確定していないが、いずれにしても太古からの天然湖であることは間違いない。
この湖が位置する標高810m北海道の「湖」としてはもっとも高い。地図上では上流に糠平ダムがあるように見えるが、この二つの湖は幌鹿峠で峻別されており別水系である。それが意味するところは、この湖ができた太古から、ずっとこの場所に陸封された魚がいるということにほかならない。

 

固有種ミヤベイワナ

然別湖の固有種ミヤベイワナは翡翠の衣をまとった宝石のような魚で、厳しく閉鎖された環境のなかで1万年を生き抜くうちに独自の進化を遂げた。悪食で知られ、蛇やネズミまで貪欲に呑み込むイワナの仲間にあって、閉鎖環境で長らくプランクトンを主食としてきたためか、エサをこしとる他のイワナ類よりサイハの数が多いことで固有種として認められた。
北海道の天然記念物にしも指定されているが、驚くべきことにミヤベイワナをターゲットに釣りをすることもできる。

宝石のようなミヤベイワナは然別湖の固有種


 

然別湖の新名所「湖底線路」

船を湖におろすための設備でインクラインと呼ばれ、ダム湖ではごく一般的。ただ天然湖での一般線路のようなインクラインとネーミングの妙で人気スポットになったようだ。
ここは「北海道三大秘湖」の東雲湖への登山口でもあり、前回来た時は誰もいなかったのに、2023年の再訪では人とクルマとSUPがごった返して困った。いつもならここで泥がついた登山靴を洗うのだけど、おまえ何やってんだと怒られそうなので、そのまま撤収。



 

冬には世界で唯一の氷でできた村「コタン」が現れる。

然別湖はトドマツ、エゾマツやダケカンバの原生林に囲まれた標高810mに位置し、北海道の天然湖ではもっとも高いところにある。
大雪山国立公園に属するが、山奥の秘境というわけではなく平地から直線距離で5km程度でアクセス性は悪くない。
湖岸路を奥に進むとまもなく狭路となり、峠を経て糠平湖に達する。道をお伴してくれるヤンベツ川はミヤマイワナの産卵場所でもあるため、北海道ではめずらしい全面禁漁の沢となっている。
また湖の南東には北海道三大秘湖日本秘境100選にもなっている東雲湖(しののめこ)がある。この秘湖に行くためには直接のアプローチ路がないため、然別湖のワンド奥までカヌーで進み、天望山を横目に沢を登っていくという冒険心をくすぐられる行程。
1月末から3月末までの厳寒期は、凍結した湖上に氷で造られた建物が並ぶイベント「しかりべつ湖コタン」が開催される。バーでは供される酒はグラスまで氷でできている。ほか、アイスシアターや、氷で造られた露天風呂もめずらしい。



結氷した然別湖



 

然別湖の湖岸と景観

温泉街対岸側の小ビーチ


取水設備?


カヌーツアー


天望山から俯瞰した然別湖

この数秒後には霧で真っ白に。しばらく待ってみたけど、二度と姿を見せてくれなかった。



 

然別湖の湖岸路とアクセス路

湖畔には温泉宿もあり宿泊可能。湖西岸には道路もあるが狭くて荒れている。湖周を抜けると鹿幌峠にむけて道はよくなる。
アクセス路となる道道85号は白樺峠前後が狭いがそれ以外は快走ルート。途中、十勝平野の見晴らしは最高である。

然別湖の湖岸路とアクセス路



 

国立公園で、北海道天然記念物のミヤベイワナ釣りが可能。

ミヤベイワナ釣りができるのは1年のうち2シーズン50日間のみ。(冬期に試験解禁の年もある)
キャッチアンドリリース、バーブレス、シングルフック使用は必須。動力船は不可で手漕ぎおよびカヤックはオーケー。1日の定員は4,000円を支払い予約が受理された50名のみ。
ミヤベイワナ以外にはサクラマス、ニジマスも。
然別湖の釣り専門のオフィシャルサイトがあり、オンラインでの予約もできる。

www.shikaribetsu.com



 

マップ

池さんぽマップ

2023年10月、ver. 1.2に更新。




Googleマップ

マークした場所は、湖底線路のある東雲湖トウマベツ登山口。