水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

最上稲荷池(岡山県岡山)

さいじょういなりいけ。
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三つだけじゃない日本三大稲荷のひとつ。

池の横に大きな駐車場があり、大型バスからぞろぞろと人が出てくる。
若い人も多いから、パワースポットとして認知されているのかもしれない。池横から参道がはじまり、人々が吸い込まれていく参道の先には「日本三大稲荷」とうたう最上稲荷がある。
神様のなかでも現世御利益に霊験あらたかというお稲荷様だが、御神体が狐という動物というのは昔から不思議な気がしていた。世界的に見れば、熊や鷲、蛇などの動物を神とみなす部族はたくさんいるだろうが、日本の稲荷様ほど立派な神殿、というか社殿を構えたものはめずらしいのではないか。中には美女に化ける九尾の狐として世界中で悪行をなした玉藻の前を御神体とする稲荷もあるそうである。
稲荷神社では供物として狐が大好きな油揚げを供えるが、そもそもほんとうに狐は油揚げが好きなのだろうか。狐だけがこれだけ人々を集める立派な神様になれて、猫や犬からは神様級のスターは出てこなかったのはなぜなのか。犬など鳥居をくぐって神域に入ろうものなら、こっぴどく叱られる低い存在にされているのはかわいそうな気もするし、そういえばオオカミは神様として祀られている例もあるから、人間になついてしまうところが犬が神様的にダメな理由なのかな、ならば猫なら可能性はあるし、人でも上にへつらうようなのはだめなのかとか、またいらぬ妄想に入ってしまうのだった。あ、古代エジプトでは犬が神とされていたし、インドでは今でも牛が神獣だ。うーん。
さてここ最上稲荷がちょっと変わっているのは、狐という動物神を祀ったはずの稲荷系列であるにもかかわらず、そのじつ日蓮宗系のお寺であるという点。日蓮宗は、もちろん日蓮という偉いお坊さんの教えを守る仏寺であって、動物の「仏」はいないと思う。仏像で動物の姿をしたものを、ちょっと思い出せない。
それに日本三大稲荷をうたう最上稲荷だが、三大稲荷にはいろいろバリエーションがあるという不思議な話もある。
伏見稲荷(京都府)だけが別格というか、三大の筆頭にもってくるのが共通しているのは、伏見稲荷が全国の稲荷神社の総本社とされているのだから当然だろう。二番目の位置には芸能関係の御利益があると芸能人の参拝者も多い豊川稲荷(愛知県)がくる例が多く、地域によって異なってくるのは三番目のポジション。地元のお稲荷様をそこにあてて日本三大稲荷とするのは、単なるトップ3ランキングではなく、地元愛に裏打ちされた柔軟な「三大」なのである。
池は稲荷の構成要素とはなっておらず、野池然としている。
池の横の道を上がっていったところに、味わいのある健康ランドもあった。

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稲荷山健康センター。
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マークした場所は稲荷山健康センター。