水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

ひょうたん池(新潟県佐渡島)

【赤玉杉池】

一帯の景観の主峰たる風格をそなえた池だけに、これをめあての「杉池」と思ってしまう人が多い。ただ、全面的な肯定もできないが間違いとも言えない。(2022年6月撮影)

かの「杉池」かと思いきや、天然湖と思いきや

ここが小佐渡を代表する伝説の池、「赤玉杉池」と思い込んで疑わなかった。しかし現地案内板には「ひょうたん池」と表記されている。まあ、別名か愛称なのだろうとタカをくくり、地図の片隅にひょうたん池とは別に小さく「杉池」という池が記載されていることを見逃していた。2018年のことである。




 

混同は意図的?

佐渡観光協会公式サイトでは、「杉池」の解説として、(杉池は)杉池とひょうたん池の二つの池からなる、としている。なるほど、ここを杉池と思ってしまっても、広義の杉池という意味では、あながち間違いではないようだ。
また、杉池について佐渡一詳しい郷土史家の児玉宗栄氏も、ひょうたん池が杉池と混同されることは観光的な観点からはいいんじゃないかと言っている。
とはいっても、イチ池マニアとしてはオリジナル杉池を見逃して帰ってきてしまったことに変わりなく、やっぱりくやしい。4年後の2022年6月、杉池の熱い思いを胸に佐渡島に上陸した。

堰体側から見たひょうたん池。


 

杉池は水源池、ひょうたん池は貯水池

天然沼沢のオリジナル杉池が杉池大明神の林の中にあり、数百年も昔から赤玉集落の水源として利用され、また、水神が祀られ尊崇を集めてきた。
いつの時代か分からないが、オリジナル杉池は湧水の水たまりのような感じで貯水量が見込めないので、下側に堰体を築き溜め池として造成されたのが、ひょうたん池ということらしい。
確かに、ひょうたん池の北東岸は直線的な盛り土の堰体構造が見てとれる。自然護岸が多いものの、堰体部とひょうたんのくびれの部分にはコンクリート補強がなされている。

奥に見えるのが堰体部のコンクリート護岸。
池のくびれ部分。公園側にコンクリート補強。すべり止めなのか、少し変わった施工。


赤玉池(手前)と、ひょうたん池



 

池の立地と構造

隣の赤玉池との関係

堤の上を奥まで歩くと50mほどの木道が渡されている。行った先は赤玉池というもうひとつの貯水池である。そちらの池もオリジナル杉池を直接の水源としていて、ひょうたん池の配下にはない。湖面高はむしろ赤玉池の方が上にあるようにも見え、両池は流下先の水路でつながる対等な関係にあるようだ。

左は赤玉池。上の二つの池に見えるのが、ひょうたん池


赤玉池側から見たひょうたん池。道の先にあるが堰体部。


小佐渡の稜線(峠)近くという立地

集落は海岸にあり、山の稜線近くの池とはけっこう標高差がある。
また両者の間の急斜面には棚田が設けられている。


池下の棚田(受益農地)

下の写真では赤玉杉池の駐車場が手前に、棚田をはさんで海岸に赤玉集落が見える。




 

案内板と駐車場

地図の上の方に、小さく「杉池」の文字と引き込み線がある。


駐車場と案内板。

bunbun.hatenablog.com



 

池さんぽマップ


 

Googleマップ

マークした場所は駐車場。