水辺遍路

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小田原城のお堀(神奈川県小田原)

2022年8月の小田原城のお堀。なんだこのアートは?!

小田原用水で早川の水を導水

小田原城は豊臣秀吉の天下統一に最後まで抵抗した関東の雄、小田原北条氏の居城。その本丸、二の丸を取り囲んでいるお堀。
関東大震災ではお堀の石垣が崩れただけでなく津波にもひたされており、現在の堀は再建されたもの。当時の石垣は今のものより低かったそうだ。
早川で取水された水が小田原用水を通じて堀に引かれている。

小田原用水(早川上水)取水口

1.5kmを開渠および暗渠で導水

お堀からおよそ1.5km西の早川左岸側に取水口の導水路がある。国道1号線から歩道の降り口があるがクルマは駐車できる場所がない。



案内板


小田原用水(早川上水)取入口
小田原用水(早川上水)はこの地で早川の川水を取り入れ、板橋村は日東海道の人家の北側を通水し、板橋見付から日東海道を東に流水して古新宿を通り、江戸口見付門外運池に流れ出たもので、途中の所々で分水されて小田原城下領民の飲料水に供されていたものである。
この古水道は小田原北條氏時代に施設されたものと思考され、我が国の水道施設の中では初期の頃の水道と思われる。江戸時代になっても利用され、城下17町の飲料水として利用されていた。
その後上水道から下水道へと姿をかえ、昭和31年市内電車の軌道撤去による国道の大改修によって面目を新たにした。
なお、近年道路工事中に、江戸時代のものと思われる分水木管が発見され、その一部が市立郷土文化館に保管されている。


 

ヒシモとヘラブナ(2022年6月)

ヒシモの小群落が発生

2018年にテレビ番組「池の水ぜんぶ抜く作戦」で水抜きをしてから四年になるが、池底にあったハスの再生は見られなかった。また水質の改善も限定的だった。
一方、ヒシモの小群落が池の各所に見られるようになった。これまでは確認したことのない群落だった。今後、爆発的に増えて池の様相が一変するのか注視していきたい。


鯉にまじってヘラブナ群

番組前はブラックバスの群泳も見られたが、その後、姿を見たことはない。鯉のほかにヘラブナも確認している。
2022年初夏、いつものように学橋のたもとで観光客からのエサを待っている鯉の群れがあったが、橋の日陰になったところにヘラブナ群を見つけた。夜は鯉の群れと入り乱れているが、昼間は接しながらもそれぞれの種の群れを守っていたのが印象的だった。
魚体を望遠レンズで確認すると、ヘラブナというよりマブナの体型のものもいる。30〜40センチで黒々としているが、それ以上に大きい個体は見つからなかった。


38年ぶりの掻い掘り(水抜き)で31尾のブラックバスを駆除。

2018年春からレギュラー番組となるテレビ東京の「池の水ぜんぶ抜く作戦」のレギュラー化初回の目玉として小田原城のお堀に白羽の矢があたった。
ちょうどこの冬、夜にお堀ばたを通りかかると光に集まった魚が気になっていた。鯉にまじって体形的にどうもへらぶならしきものがいた。何度か撮影したが暗くて確認にまで至らなかった。
そんなわけで今回の水抜きで、へらぶながいるのかを楽しみにしていた。水抜きでは外来魚駆除のほか、水生植物のオオカナダモの駆除が大きな目的のひとつと聞いた。
一般的に日本に生息する多くのコイは外来種とされ(※)、かいぼりを企画した番組もその立場をとっている。ヘラブナにしても小田原の在来種ではない。果たしてヘラブナとコイはどうなったのだろう。
2018年3月21日に実施されたかいぼりで捕獲された外来生物はブラックバス31尾のほか、北米原産のアカミミガメ1尾、中国原産のハナガメ1尾のみと、かなり少なかった。在来種では、モツゴ、ナマズ、ウナギが堀に戻されたとの新聞記事。しかしなぜかこの記事にはコイとフナについては一文字も言及がなかった。

かいぼりから1週間。早くも満水となっていた。

かいぼりから一週間もたたないうちにお堀は再び満水となって桜の満開を迎えた。あまりの回復の早さに驚いたが、小田原城のお堀の水は早川から小田原用水を経由して引いていることをこのとき知った。そして何ごともなかったかのようにコイも泳いでいた。
※コイは遺伝子的に在来種と外来種があり、在来種は希少種との報告もある。また、ハナガメについても在来のニホンハナガメという近縁種があるがすでに絶滅している。

2018年春の水抜きは38年ぶり(2018年3月18日撮影)



 

2009年の釣りによる外来魚駆除

2018年のテレビロケも近づいてくると、底が見えてきたお堀では、多くの人たちが身を乗り出してのぞきこんでいて、みなが楽しみにしているさまが伝わってきた。お堀の一角に、長らく姿を消していたハスの茎が現れてきたのも印象的な光景だった。
これまで小田原城のお堀では外来魚の駆除においては長らく効果を上げていなかった。
2009年11月に市の委託を受けたボランティアのアングラー7名が2時間半で60尾におよぶブラックバスを釣り上げた。最大は40センチであった。
それでも夏場には小魚を追うブラックバスの姿が見られた。35センチ程度のものも確認している。
特に釣り禁止という看板は見あたらないが、地元アングラーは観光客への配慮なのか自粛しているようであるが、たまに若者がキャストしているところを見かけることもある。




 

東堀跡

天守台の足もとに菖蒲園があるが、ここはもとは東堀と呼ばれる堀だった。



天守閣の改修(2016年)

2016年に半世紀ぶりの大改修が行われた天守閣は、入場有料であるが予想以上の観光客が押し寄せて観光業界や市を喜ばせている。堀の内側には無料のミニ動物園や、低料金のゴーカート乗り場、ミニエスエルもある。お堀ではボート遊びも楽しめる。
春には桜が藤の花が岸辺を彩り、毎年、五月の連休にはお堀に囲まれた城内広場で北条五大祭りが開催され、堀を出て城下町を練り歩く武者行列のほか、小田原中の神輿が結集する神輿パレードも行われる。




箱根の山をバックに満開の桜(2014年)



 

馬出門の改修(2014年)

2014年に改修された馬出門付近。濠割りも往時の姿に復元された



 

お堀の四季

2020年4月撮影

2022年2月撮影

ライトアップ

2022年3月撮影


 

Googleマップ


 

関連動画


地区神輿PV(2015)


大神輿PV(2011)