水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

沼尾沼(福島県南会津)

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沼尾沼。下方に見えるのは若郷湖(大川ダム)

 

小野岳が肩にのせる奥離の山池

街道情緒あふれる宿場町・大内宿の名を冠した大内ダムと、若郷湖の名をもつ大川ダムにはさまれた小野岳。
この山頂が見おろす直下のくぼみに沼尾沼なる神秘の池がある。
池に会うためには登山でアプローチするしか方法がない。ただ、沼尾沼を経由して小野岳頂上に至る大川ダム側からの登山道(その名も「沼尾登山道」)は廃道になっているとのことで、反対の西側にある大内宿側からの登山道で小野岳ピークに至るしかない。
頂上近くの尾根から沼尾沼の姿を垣間見ることができる場所はあるようだ。
とりあえず空撮機材を背負い、大内宿側の登山口からアプローチ。2017年のアタックでは姿を捉えることができなかったが、2019年9月の再挑戦では前回の反省をもとに高度を稼いだところで空撮を行ない、神秘の水鏡をおさめることができた。
山形県の沼沢沼高知県の池山池と、ここ福島の沼尾沼の御三家はいずれもアクセスに苦労する奥離の山池という共通点がある。

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右側のいちばん高い峰が小野岳。その左側にくぼみのような山影が下に降りている。その先に沼尾沼がある(2017年)


 

沼尾沼と、かしこい牛の伝説

平安末期に小野岳の上に住み獣皮で財をなした長者がいて、かしこい牛を飼っていた。牛はなんとひとりで山道を下り麓の集落に使いにいっていたというが雨の日に沼尾沼に落ちて死んでしまったという。以来、牛の首をかたどった人形を沼に投げ入れると雨が降るとされ、雨乞いの神事となったとの話がある。
興味深いことに、はるか遠方の四国は愛媛県今治の犬塚池に、かしこい犬の伝説が残っており、やはり人の使いをしていた犬が池に落ちて死んでしまうという類似点がある。

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地形の特徴

小野岳の山頂からごっそり削り落ちたような地形が見られ、沼尾沼の下側にかけて盛り上がりが見える。沢筋が大量の土砂で堰き止められたようなかっこうだ。山体崩落による堰き止め湖と考えられる。池岸の山頂側は垂直に近く切り立っている。

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右手の小野岳山頂から若郷湖へと下る斜面の途中の肩に沼尾沼がある
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小野岳の大内宿側登山口

大内宿側からの登山口を使った場合、沼尾沼へは山頂を越えて下って行くことになる。かつては若郷湖側からの登山道もあったという話で、そちらの方が沼尾沼には近そうだが廃道状態。熊出没地域でもあり地元の人の案内なしでの入山は難しそうだ。

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大内宿側の登山道の様子


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登山口の駐車スペース


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県道から登山口へのアプローチ路入口。ここからクルマでダートを上っていくと、登山口の駐車スペースに出る


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「小野岳道」の石碑。「熊のみちにいたる」と掘られている。ありがたい話ではない。


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登山口入口から県道を150mほど下ったところにある駐車スペース。未舗装路をクルマで入るのが心配な人は、ここにクルマを停めて歩くといいだろう


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Googleマップ

マークした場所はアプローチ路入口。ダートを上っていくと駐車スペースに至る。