水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

蛇ヶ池(石川県中能登)

【原山の蛇ヶ池】

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いかにも神々しい雰囲気の島。祀られているのは蛇(龍)の神であろうか。

峠近くの蛇女房伝説パワースポッ池。

石川県の中能登町と富山県氷見を結ぶ二車線の県道18号。県境の峠近くの山腹にぽつんと不思議な雰囲気の池がある。
交通量の少ないワインディングということもあって、道をスピードをだして駆け抜けて行くツーリングのオートバイやクルマ。道沿いにあるが木々に遮られているので、速度を出していると、なかなか気づけない池でもある。
池近くの県道には「不動瀧 修験の道」と題された大きな案内板が立っている。ここは道幅が少し広くなっていたのでクルマを停めて、池まで歩くことにした。
案内板には碁石ヶ峰自然遊歩道の先に「湯の谷池」という名も見られる。航空写真では谷池タイプの溜め池構造をもつものと、丸い形状の池があったが、名からしておそらく前者だろう。

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ハクチョウの小屋や、水神が祀られているという中の島が浮かぶ。

さて蛇ヶ池であるが、やはり溜め池であろうか。航空写真では堰体らしきものが見えるが、構造はやや変則的。堤横に池守のように一軒の民家。水面には大きめの鳥小屋が浮かぶ。
案内板にも二羽のハクチョウのイラストが描かれていたが、実際に二羽のハクチョウが羽咋市から寄贈されたというから小屋は彼らのためのものだろう。
木がまるくこんもりと繁った中の島があり、話では水神が祀られているそうだ。ここ原山地区に住む与十郎さんの軒下に棲む亀が一夜のうちに造ったのが蛇ヶ池だという伝説もある。
やはり与十郎さんがらみの伝説で、池端で髪を梳く女と与十郎さんの息子が結婚したら、じつはこの娘、池の主たる蛇の化身で、以後、与十郎一族はたいへんに栄えたという。
もしかしたら、池端の一軒屋は、与十郎一族のご子孫? なんて、またも池端で妄想。
草や木に包まれた岸の雰囲気といい、水面に浮かぶ浮葉植物群落といい、親しみやすい豊かさの中にどこか神秘的なオーラをまとう池だった。
同名の池は、和歌山県の紀伊水道に浮かぶ離島にもあり、やはり大蛇にまつわる伝説が残されているが、あちらの蛇はかなりのワルで、法力で封印されている。

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マークした場所は遊歩道入口。