水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

むつ野池群(青森県)

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本州最果ての野池群。

下北半島の中核都市であるむつ市は、本州最北端の市でああると同時に、日本で初めてひらがな名を用いた市でもある。町は大型店も多く、地方都市の様相をもち、下北半島にこれほど大きな町があるとは思わなかった。
初めて訪れたのは2005年ごろで、下北半島を縦貫する国道は通勤時間帯をはじめ、かなり混雑することに驚いた。2017年現在はこの国道に平行して、下北半島縦貫道路というバイパスの建設が進んでおり、むつ南部にある10湖ほどの野池群があるあたりが建設地となっている。
野池が集結するエリアは新しい高速道路やバイパスの建設地になることが多いという印象をもっていたが、これは考えてみれば当然といえる。
野池は農地や宅地より少し高い森林地帯に並列する特徴があるので、用地取得がしやすいのだろう。
むつの野池は数は多くはない。代表する池は早掛沼をおいて他にない。キャンプ、釣りなどレジャー用途にも開放されているむつ市民の憩いの場でもある。

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一方、むつ市南部エリアに中小の野池群が集まっているが、こちらはバイパスの建設地になっていることから、立入禁止エリアが多く、あちこちに規制看板が立って少々騒がしい。アプローチ路もダートがほとんどである。
「沼」と「池」の名称が狭いエリアの中で混在することは興味深い。というのも青森県ぜんたいでは池名に「堤」を付けるのが一般的だが、西の津軽半島では「沼」と「池(溜池)」と「潟」が占め、逆に「堤」が少ないという別文化的な特徴をもっている。下北半島全域でみても「沼」が多く「池」がこれに次ぐという点で、青森とも、津軽とも異なる下北半島の池文化があると考えられる。

下北半島の湖沼は、一人横綱の孤軍奮闘。

下北半島ぜんたいを見ても湖沼はけっして多くはない。
筆頭格には恐山の宇曽利湖が君臨するが、半島基部の巨大湖沼群をのぞけば他に目立ったものはなく、半島東岸の砂丘に海跡湖と思われる左京沼、大沼、長沼がある程度。
ダム湖を見ても、ダム湖100選のかわうち湖(川内ダム)がひとり気を吐くのみで他に目立ったダム湖はない。
天然湖では宇曽利湖、ダム湖ではかわうち湖、野池では早掛沼と、各ジャンルの代表格が単騎奮闘しているのが下北半島湖沼ならではの特徴といえる。

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むつ野池群から見た恐山

掲載している「むつ野池群」

  • 山部沢沼(青森県むつ)
  • 二枚橋溜池(青森県むつ)
  • 八忠沼(青森県むつ)