水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

名もなき池(旧通称モネの池)(岐阜県関)

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名前もない山中の小さな池がネットでブレイク。

関市が名付けた正式名は「名もなき池」。モネの池、モネ池などは通称だ。
印象派の巨匠モネを思わせる池として2015年にSNSでブレイク。岐阜県の山奥、根道神社の社前にある小さな溜め池が突如、全国区に。
「名前のない池」で検索すればこの池の情報がずらずら〜っと出てくる時点で、もはや名前のない池という名の池といっても過言ではない状態ではあるものの、知名度が上がるにつれ無名のままでもいられず、「モネの池」の通称の方が定着したが、全国にモネ池が次々と現れてきた現在、あらためて控えめな「名もなき池」の味わいを再評価したい。

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写真を見てのとおり、誰が撮ってもモネの名画を思わせる画が得られるので、平日から小さな池のまわりはカメラを構える人だかり。伝説をまとった門前池というわけでもなく、もともとは貯水池だったという話もあるものの、貯水池としては小さすぎるし水深もなさすぎる気もする。神社の防火用水のために造った池というなら分かるといった規模。
そんな無名の小池が降って湧いたような人気に、地元はいまだやや戸惑い気味といった感の対応状況ながら、駐車場やカフェもあり写真展示なども行われていた。

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周辺におもだった観光地や湖沼もあるわけでもない山奥なので、ちょっと気軽に立ち寄るといった感じではないものの、岐阜市街地からアクセスする道路は走りやすい二車線で、スマホで撮影しても簡単にモネのような画像が得られることや、「モネ」という日本人に響きやすいテーマ性がSNSにかっこうの素材を与えたかたちでブレイクした時代の産物といえるかもしれない。
モネ池を仕掛けたのは、といってもこんなブレイクは想像しなかったと思うが、池の横にある観光農園の主人。池の水を抜いてスイレンやコウホネを植えたというから、水抜き栓がどこかにあるのだろう。
じっくり見ていけばモネを思わせる池は全国各地にあると思うが、たまたまこの池を訪れ、最初に「モネ」っぽいと看破し発信した人の功績であろう。
今後、日本のあちこちでモネ池が増殖すれば、ここは「モネ池発祥の地」とか「元祖・モネ池」と名を変えながらも人々を惹きつけつづけるのかもしれない。名のない池の弱みは強みでもある。

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池のすぐ近くの道。その存在を知っている人でなければ通りすぎてしまいそうだ。
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モネ効果の秘密は、池底をカーペットのように覆う苔や水草と、澄明ではありながら微妙に淀みのある水質にありそうだ。
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駐車場と案内板。
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マークした場所は駐車場。