水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

三堀池(岡山県玉野)

みほりいけ。
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川を堰き止めない、ちょっと変わったため池。

ふつうのため池は河川を堰き止めるかっこうで造られる。だから房総半島ではため池の名に「●●堰(せき)」というものが多く、秋田や山形では「●●堤(つつみ)」という呼び方をする。
三堀池を見て不思議に思ったのは、このため池が河川に寄り添うように造られていたからである。
水の流入口は当然ながら不自然なかっこうになる。何らかの方法で隣の川から水を引く導水路が必要で、ポンプが発達した現代の利水運用ではこういったタイプの調整池もめずらしくはないが、堰体の上に鎮座したお地蔵さんを見るかぎり、三堀池がポンプ運用の時代に造成されたとは思えない。
池奥に目を移すと、導水路の改修用であろうか、大量の土砂が積まれており、そのかたわらに黒い樹脂製の導水パイプも置かれている。写真の右側にはコンクリート製の土管が見えるが、これが既存の導水管であろうか。

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そもそも、なぜこういった造りにしたのだろう。昔は全国各地で水争いが熾烈だった。小さな川とはいえ、堰き止めて池を造れば下流側のムラには大打撃だ。いくつかのムラが協力してひとつのため池を造る場合にも、上のムラから下のムラまで水を公平に分配するルールや配水設備が設けられたものだ。
ここ三堀池では川自体を堰き止めることが合意されなかったのであろうか。あるいはこの地域に用水や池を築造した名君・池田光政の深い何かが潜んでいるのか。池妄想がひろがる。いつか玉野市の図書館に行って調べてみたい。
池への入口に、なかなかアートな感じの「あぶない」看板あり。
2015年12月に千葉県野田市が放鳥したコウノトリが飛来した現場でもある。

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