水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

真立ダム(富山県富山)

まつたてだむ。

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小口川に注ぐ支流に造られたバットレスダム。屈曲する川にはいくつもの滝が立ちふさがる秘境だ。

これぞ秘境バットレス。

国内現存六基のバットレスダムのひとつ。巨大人造湖であり百名山・薬師岳の登山口にある有峰ダムの裾には二つのバットレスダムがある。
なかでもここ真立ダムは秘境ダムとも幻のダムともいわれ、熱心なダムマニアのあいだでも垂涎の地となっている。熊との格闘を覚悟で、ダム建設時に造られたナローゲージ廃線跡を何時間も歩かねばならない。
水力発電用の施設で、操作盤でコントロールする排砂ゲートを備えることから、現役稼働か、最低限でも維持管理はなされているようだが、さすがに管理者職員はヘリコプターで現場入りだろうか、ヘリポートが確認できる。
撮影した日は、何と水抜きの状態。発電用ダムなので水抜きとはいわず、排砂というべきか。いずれにしてもバットレスダムの擁壁がまる見えになっている姿を捉えることができた。ダム湖の奥にもうひとつ小堰堤も見えるが砂防ダムだろうか。
真立ダムは今でこそ航空写真なりGoogleマップなりで位置が正確にマークアップされているし、到達した先達のレポートもインターネットで読めるが、ちょっと前までならこのダムは厚いヴェールのはるか向こうに霞み、不屈の精神と、それに報いる祝福を受けた者だけにその姿を現す場所だった。少なくとも現存するなかでは、最強の秘境バットレスであろう。
近代土木遺産

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ダムの奥にもうひとつ堰堤と送水管も見える。