水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

桑沼(宮城県大和)

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船形山麓湖沼群の筆頭格。

船形山の南東側の山間にぽっかりと開いた魔女の瞳。そんなたたずまいの桑沼は深いブナの森に囲まれ、縄文時代もきっとこんなだったろうなという空気である。クルマでアクセスできるとはいえ、県のホームページでは四輪駆動車推奨。5km以上も未舗装林道で標高を上げていかねばならない。
2017年5月に艦載モンキーでのアタックで分厚い雪に阻まれ一度は撤退している。翌年、手作りマップを作ってDトラッカー125で別ルートをたどり、やっと会えた憧れの水辺。
十中八九は天然湖であろうと思うが成因が今ひとつ分からない。少し範囲を広げてみれば周辺に天然沼沢らしきものはいくつか見られるが、岩石を護岸として池を取り巻き、これだけの規模をもっているものは他にはない。船形山麓湖沼群の筆頭格らしい存在感がある。
沼の片側は急峻な山体が屏風を立てたようになっているが、反対側はなだらかに山裾へと下っている。堰や水門は見あたらず、人が造った工作物といえば遊歩道とベンチぐらい。
この沼が生まれた成因のヒントはないかと、航空写真で桑沼を上空から見てみて、ぬぬ、と眉をひそめる。直線的なラインと円弧を組み合わせた幾何学的な形状は、近現代の人造湖らしい合理性とも異なり、もはや宇宙人からのメッセージかと思うような不思議さである。
桑沼の形については、後背の尾根にある桑沼展望台からだとハート型に見えるという人もいる。宇宙人からのメッセージに見える人はまだいない。

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池は半周にわたって遊歩道がついている。林道側は湖面からやや高いが、しばらく歩くと分岐があって湖面近くへと下っていける。ここからは水辺を間近に感じながら奥へと進む。竿をだしたいところだが持ってこなかった。
巨大ニジマスやイワナを見たという噂もあるが、確実に生息しているのはアブラハヤとブラックバス。こんなところにまでブラックバスを持ち込んだ人がいるというのも驚きだが、自然繁殖しているらしきことにも驚いた。
奥まで行くと大倉山方面への登山道の入口があるが、訪れた際は斜面崩落のため閉鎖されていた。
また桑沼の200m南にはスズ沼という小さな池もある。
林道分岐点に未舗装駐車場が数台分。

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桑沼の遊歩道入口(左)と遊歩道奥の登山道起点(右)


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桑沼へのルート、登山道、駐車場が案内板に示されている。


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船形山山麓湖沼群ver2.0


マークした場所は桑沼の駐車場。