絶海孤島に浮かぶ全国ため池100選の島池。
沖縄本島の東方約360kmに浮かぶ北大東島。この絶海の孤島に、日本ため池100選に選ばれた16湖の池群がある。
サトウキビ畑をかんがいするための農業用貯水池であるが、島中央部の数湖をのぞいては完全コンクリート護岸のファームポンドタイプの池がほとんど。
それでもこれらの池群は渡り鳥の中継池になっているようだ。
空港でのわずか15分間の乗り継ぎの時間にダッシュして撮影したため、実際に訪れることができたのは空港近くの1ポンドだけだが、たまたま記念碑も立つ立派な池でラッキーだった。案内マップに池名はなく、ただ「貯水池」とだけ記されていた。
沖縄県でおそらくはもっとも東に位置する池。ただ、さらに100mほど東にごく小さな池がひとつあって、そちらこそホンモノか。今回は行けなかった。
ゆっくりできるなら島中央部にある、天然湖由来の可能性もある古い溜め池群の方にも行ってみたかった。
ともあれ、かろうじてではあるが、日本ため池100選の98湖目を訪れることができた。
残り2湖はいずれも南西諸島の離島にあるので、難易度が高し。
それにしても、日本でよりすぐりの名池のはずの「ため池100選」だというのに、有刺鉄線がめぐらされコンクリート護岸のそっけない池でガッカリでは? と思われるかもしれない。
池をめぐる歴史、苦労、努力と技術から環境と保全に対する住民の取り組みなど、いろいろな視点から北大東島の16池がグループとして100選のひとつに選ばれているので、池のまわりや細部をじっくり見ていくと、これはこれで池萌えポイントはけっして少なくない。
以下は、ため池100選オフィシャルサイトの選定資料から。
北大東村に点在する農業用ため池は、島全域に農業用水を供給して基幹産業サトウキビ農業を支え、村の発展に大きく貢献しています。
また、様々な渡り鳥たちが羽を休める池はバードウォッチャーの穴場ともなっており、様々な水生昆虫も確認されています。
毎年4月第4日曜日のサトウキビの日には、 PTA や子供会と共に島民そろって草刈や水兼道路の整備を行っています。
北大東村は昭和25年頃まで燐鉱石採掘事業が栄えていましたが、閉山後はサトウキビ農業が生活を支える重要な産業となりました。山もなく雨が少ない(以前は年間1600ミリ近かった雨が今では 1100ミリ)という地形的にも気象的にも厳しい条件の中で、16ヶ所のため池を有効に活用しほぼ島全 域(島の耕地面積の5割、274ha)に農業用水を供 給しています。
開拓から百年余を迎える北大東村は、沖縄県内でも有数のさとうきび産地となっており、ため池からのかんがい用水がなければサトウキビ栽培は成り立ちませんでした。 また、島はミサゴ、トビ、サシバなど渡り鳥が多く訪れることでも知られ、ため池は鳥たちの貴重な休息の場となっています。特に冬に飛来するサギ類 は、サトウキビや馬鈴薯の収穫時期になるとケー ンハーベスターやトラクターの後ろから付いてまわり、掘り起こされる昆虫を啄む姿は冬の風物詩となっています。
(農林水産省ため池100選オフィシャルサイトから抜粋)
取水設備をじっくり。
空から見た北大東島の池群。
今回の池旅は南大東島がメインだったため、北大東島は日程的に完全にあきらめていましたが、空港スタッフの助言のおかげで、両島経由便(日替わりで南→北と北→南になるので注意)を使い、ラッキーにも北大東島に15分ほどですが上陸することができました。また、この便は、南大東島の池、北大東島の池ともに空からもよく観察することができました。
両島のあいだは、わずか8km。距離的には泳いでもいける近さゆえに、旅客機の場合、ぐるっと大まわりに上空を旋回する必要があるみたいで、そのおかげで予想外のアングルから両島の池を見ることができました。