日高町の平野部には溜め池がいくつも見られるが、リアス海岸の半島山間部では唯一ともいえる溜め池。それなのに周囲長700mクラスと、かなり立派だ。かような立地にたたずむ孤高な池は、地図を見ている段階から心躍る。
築造は江戸時代初期。名のとおり五郎右衛門が発起人になって掘られたと日高町が立てた案内看板には記されている。さらに「この池が築造されたことで百姓たちは、赤貧の奈落の底から救われた」とある。
赤貧の奈落。
池自体が町指定の文化財になっているあたり、この池がいかに志賀谷集落に輝かしい希望を与えたかと思うと胸が熱くなる。
アプローチ路は交通量の少ない1.5車線路。すんなり堰体サイドに出られて駐車スペースもわずかながらある。
堰体の上を歩いていくと錦鯉が見られた。洪水吐のところで藻に首を突っ込んでいる錦鯉の尾びれがあやしく揺れている。そのまわりをお伴するように動いている泣き尺ほどの魚群あり。よく見ればブラックバス。
ブラックバスが大鯉のお伴をする姿は各地で目にしてきた。習性のひとつかもしれない。
さてパックロッドで試釣するもスピナーベイトごときでは興味も示さず、かといって逃げもせず、完全なる無視を決め込まれる。かなりスレているが、当然だろう。立地も孤高さも魅惑的なこの池を、ハングリーな野池フリークが見逃すわけもない。
マークした場所に駐車スペース。