百名山・月山の九合目の山小屋前にある小さな池。
死者の山、月山を訪れる行者はここの水を飲むことでひとたび死に、仏となって月山に登り、下った先の湯殿山で再び生を受け、まっさらな自分となって生まれかわるという信仰が今に受け継がれている。
八合目にある登山口から徒歩二時間ほど。
すなわち、月山は月山と呼ばれるゆえんを知ろうとする者にはその本然の姿を見せず、本然の姿を見ようとする者には月山と呼ばれるゆえんを語ろうとしないのです。
月山が、古来、死者の行くあの世の山とされていたのも、死こそはわたしたちにとってまさにあるべき唯一のものでありながら、そのいかなるものかを覗わせようとせず、ひたとび覗えば語ることを許さぬ、死のたくらみめいたものを感じさせるためかもしれません。
(森敦『月山』)
雲の峯(みね) 幾(いく)つ崩(くず)れて 月の山 松尾芭蕉
マークした場所は仏生池。八合目の駐車場から90分。下り60分。