水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

びふかアイランドの三日月湖(北海道美深)

展望台から池を眺めおろす(2019年)

道の駅の中にチョウザメ館やオートキャンプ場

びふかアイランドという道の駅の中にある池で、道の駅の構成要素になっている池として、これほどスケールと野趣あふれる水辺となると、全国でもそうそうは見つからない。そして、この池には意外な聖地であり、意外な過去もあった。

 

池の形態と景観

天塩川の河跡湖

天塩川の旧河道である三日月湖。浮き草とオープンウォーターがあいまじり、つややかな緑の岸をもつ。もともとは天然のものだが公園としての改造や整備は表には目立たずワイルドな原生感が魅力。
下写真の二車線道路は園内道路で池を二分している。

天塩川の名の起源「テッシ」の池

なんと「天塩」の名の由来となった旧天塩川の一部が池として保存されている。
現地案内板によると「テッシ」はアイヌ語で「魚をとる仕掛け梁(やな)のある所」。岩が並んでいて梁を仕掛けるのに好都合な場所だったのだろう。


昭和初期までチョウザメも遡上!?

昭和初期ごろまで天塩川には、キャビアで知られるチョウザメも遡上していたとのこと。



1983年、池にチョウザメを放流

なんとこの池には水産庁の飼育試験としてチョウザメの人工交配種であるベステル種300尾が放流されていたという過去があった。
養殖目的で池にチョウザメを放流した事例としては、「釣りキチ三平」のモチーフになったことでも知られる山形県の東沢溜池も。

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ペステル種のチョウザメはこんな池にも

現在もペステル種のチョウザメが泳いでいる池は鹿児島県、宮崎県にもある。また管理釣り場でもチョウザメを泳がせている池も散見される。

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岸形状など

道の駅とキャンプサイトは沼をはさんで両岸に展開しており、沼のまん中を突き抜ける道で連絡している。橋梁ではなく堤の上を道が通る構造で、中央部の通水路の上だけが橋になっている。堤の両側は階段で水辺に容易に下りられるようになっており、汀は芝生で歩きやすく釣りもしやすい。
水質はまったりとした沼テイスト。泳ぎたくなる感じではないが、魚影が見えすぎるほどでもなく釣りにはちょうどいい。
天塩川流域には他にも多くの河跡湖が見られるが、利用もされていなければ、名前も与えられていないようなものが多い。ここ、びふかアイランドの三日月湖も特に名はないのか、案内板等には見あたらない。これが関東であれば、オリジナルネームがあっても「びふかキャビアレイク」などと、少々強引かつ大げさなキャッチネームをかぶせるところであるが、実をとって名にこだわらない北海道人の気質であろうか。





 

施設・設備

チョウザメ館

チョウザメの町をめざしている美深町のチョウザメ養殖施設を一般見学もできるよう整備。入場無料。
予約をすれば園内のびふか温泉でキャビアやチョウザメ料理も食べることができるとか。

この明るくオープンなレジャーエリアに一点の影を落とす産業遺産的な暗い感じの建築物の存在が、微妙に気に入っている。


オートキャンプ場とカヤック体験

キャンプだけでなく、隣を流れる天塩川でカヤック体験までできる。
電源つきのオートキャンプサイト、クルマの乗り入れ可能な芝生フリーサイト、管理棟のコインランドリー・・アウトドアレジャー環境の充実度でいえば、日本屈指の道の駅といえるのではないだろうか。ショートステイでは、まことにもったいない。

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ヒブナ、ヘラブナが生息

釣り・ボートはOKなのに無線に対しては厳しい?
この三日月湖に生息しているのは、ヒブナ、ヘラブナということである。
それと・・釣りもボートもオーケーというおおらかさなのに、なぜか無線に関しては禁止エリアが敷地内のほとんどを占め、厳しい。北海道ならではのレジャー事情なのだろうか。

オフィシャル看板でも、北側の沼に「釣り場」、南側の沼に「ボート・カヌー乗り場」の文字がある。一方、広大な禁止エリアの対象は、無線である。


 

Googleマップ

マークした場所はキャンプ場。道の駅は国道側。