水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

青木湖(長野県大町)

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最大水深58m。長野県で、いちばん深いだけに「思索の湖」。

仁科三湖(にしなさんこ)のうち最上部にある天然湖で、構造湖と堰止め湖のハイブリッド。
青木湖を含む仁科三湖は、どういうわけか通常の湖沼とは逆に、流れ出し口に向かってすぼまる形状をしている。これは断層に水がたまる構造湖ゆえのマジックか。
地図を見ると一見、日本海側へ流れる姫川に注ぎだしているように見えるが、よく見ると青木湖の北側には小高く分水嶺がそばだっている。やはり青木湖の水は見た目を裏切って南へ向かい高瀬川へと流れ下る。
しかし流出口を探していて、また混乱する。吐き出し側で間違いないはずなのに、やや濁った水が勢いよく青木湖に注ぎだしている。つまり水の逆流。流出するはずの水が流入。
この不自然さは水力発電と関係ありそうだ。夜間の余剰電力を使ってポンプで水を汲み上げる揚水発電は、確かにすごいシステムだと思う。ただ、天然湖の青木湖を水力発電に利用することの環境への影響はどうなのだろう。吐き出される水を見ながら思索も悪くない。
そもそも青木湖は「思索の湖」とも呼ばれ、晴れていれば白馬三山を映し出す景観が素晴らしい。流入河川がなく巨大な水源池となっており、中綱湖、木崎湖、農具川を経て犀川へと流れ出す。
カヤックやSUP、釣りの名所でもある。動力船は不可。スモールマウスバスやへらぶな、ワカサギが対象魚。遊漁料は1000円
そして映画の名シーンの水辺でもあり、市川崑監督の映画『犬神家の一族』ロケ地。湖面から二本の足が突き出ているシーンは忘れられない。一部、ヒロインがボートで昼寝するシーンなどは木崎湖で行われているそうだ。

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湖畔に並べられたカヌー。


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勢いよく水が流れ出しているが、揚水発電として中綱湖側からポンプで汲み上げている状態であろうか。岸にあるのは発電施設。


マークした場所は臨時駅前の駐車スペース。