水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

とや原の池(仮称)(長野県東御)

f:id:cippillo:20180831103157j:plain
先を尖らせた木の杭を保管するための屋根付きの物置が池岸に設営されている。

御牧原の野池群のなかでは、比較的アクセスのしやすい池で、舗装路側の池岸にはガードレールが設置されている。
やはり釣り意欲をそそられる池であるが、例に漏れず立入禁止の共通立て看板が掲げられている。
この池を採り上げたのは、岸側に設けられたトタン屋根の物置について触れたかったからである。屋根の下には、先端を尖らせた丸太が何本も積まれている。
みまき野の野池をめぐっていて、共通点として印象に残ったのは、救助用ロープボックスと、この杭置き場。木の杭だけでなく、竹や金属パイプを納めているところもある。
最初は護岸の補強に使うのかと思ったが、屋根まで付けて大切に常設する理由が分からない。浅間山の火山灰の崩れやすい地質のせいか、とも思ったが、防災的な観点からも税金を投入した改修が進む今、池ごとに杭を常設する必要があるのか疑問であった。
杭を池の中に打ち込んで囲うように組んでいる二子池の事例を見て、もしかしたら季節の漁の際に網の足場として使う材なのではないかと思いあたった。海のない長野県では、昔からタンパク源の確保のためさまざまな工夫や食文化を育ててきた土地柄。
そういえば新鋭のみまき大池が完成するまで、この土地で最大の池だったヒマム池では、看板に「養魚池につきつり禁止」と明示されていた。

f:id:cippillo:20180831103159j:plain
御牧原の野池の定番。
f:id:cippillo:20180831103158j:plain