こまきだむ。
黒船のように並ぶ17門ものラジアルゲートにひれ伏す。
戦前の昭和五年に完成したおりには、東洋一の巨艦ダムとして君臨した。堤高79mという数字は、200m超のハイダムが世界に40基もひしめく今となっては、さしたるものではない。しかし現地に立ち、小牧ダムを前にするとき、ゆるやかなアーチ曲面を埋め尽くす17門の黒いラジアルゲートと導水翼、その重畳がもたらす重量感と有無をいわさぬ威容に、思い浮かべるのはやはり「東洋一」の言葉だった。
ダム湖左岸を通る国道は、上れば世界遺産の白川郷、下ればすぐに砺波と南砺の町と温泉街。庄川の水記念公園のほか、道の駅が二つもある。
ダム湖での釣りは地形的に難しそうだが、ダム上流では渓流魚、ダム下流側ではアユ釣りができる。いずれも遊漁料が必要。
また、インレット側には船でダム湖を渡るしかアクセス方法がない究極の一軒宿、大牧温泉が湖面にせり出すように立っている。
小牧ダムは、登録有形文化財、および近代化産業遺産に認定。
なお河川ダムとして有形文化財に認定されるのは、この小牧ダムが記念すべき第一号ということである。
左岸の国道沿いに、遊覧船のりばが設けられている。
かつてエレベーター式魚道が設置されていたという話だが、堰体内側のこの見慣れぬスロープは魚道の遺構であろうか。
ダム横の国道を下り、市街地に入ったところにある道の駅に掲げられていた案内板。
マークした場所は遊覧船のりば。
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