水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

谷内池(新潟県小千谷)

新しく発売された(といっても昨年だけど)エサを前日、酒場横の釣具屋で入手。さっそく試す

小千谷には市内だけでも2,300湖もの池がある。地図を見ていると気が遠くなりそうなほどだが、ここは世界的な錦鯉の産地ということもあり、多くは鯉の養殖池。ということで池の数にしては釣りができる場所は限られてくるが、ここ谷内池は地元の環境教育活動の調査ではへらぶな、ブラックバス、ブルーギルの生息が確認されている。
2016年の訪問時に、ヘラブナ釣り師がいて巨大なモジリが水面を割るのを見た。いつか竿を出したいと思っていたところ、2022年、梅雨の雨もよいの日に実現。

ブルーギルの魚影がすごい


ちょうど前日に三条の酒場近くにあった釣具屋で、新しい底釣りエサを見つけて買っておいた。まずはこのエサ単体の両ダンゴを投入。とても扱かいやすいエサという好印象。
最初はブルーギルの猛攻に悩まされるが、すぐにピタッと浮子がなじむようになった。大型の魚が周囲に寄ってきた兆候かも。
果たして30分ほどで最初のフッキング。しかしスレなのか鯉なのか、はたまたとんでもない巨ベラなのか、イッキにのされハリスを切られた。一瞬で。
ちょっと油断していたのもあるが、仕掛けを引き上げてみるとオモリはめくれ、浮子のパイプトップが折れていた。引き込まれた勢いで浮子を折られたのは高知県の波介川ベラ以来。あそこの魚もすごかった。

浮子のトップを折られた
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アタリとフッキングはコンスタントに訪れるが、スレが多いのかことごとくハリスを切られる。
やっと上がってきたのは40オーバーのみごとなヘラブナ。スレと二本の針がかりをしていたがスレの方は切られていた。
野鯉の姿は見なかったが、ときどき巡回にくるみたいに大きな錦鯉がやって来た。こんなのが針がかりしたらたまったもんじゃないと思って見ていたら、ただ、よく分かっているのかエサには見向きもしない。

みごとな体高の40オーバー。まさかこんなのがゴロゴロしているとは


さっきは余裕がなかったが、池と魚とのツーショット写真が撮りたくて、もう少し粘る。ついには手持ちのハリがなくなり、一本針で勝負。エサを食わせ狙いのグルテンに変更。
ときどき雨が強くなる。そのたびにクルマに戻って読書や昼食。
午後になって、ようやく目的の一枚が撮れた。片手で竿を操作し、片手で一眼レフで狙うので、大きすぎる魚になると難しい。ほどほどの大きさの魚が来るまで苦労するという、なんという贅沢な池。写真はもうちょっと池の雰囲気を入れ込みたかったけど、仕掛けがもうボロボロなので撤収。

やっと撮れた。尺上ぐらいだと、この池では小さく感じるほど


じつはこの池には「関係者以外の一切の立入りを禁止する」との看板がある。捨てられた釣り糸で農機具を壊された農家が怒った結果で、ここ数年はお願いをするかっこうで釣りを黙認してもらっている状態なのだと、横で釣りをしていた常連さんがおしえてくれた。
40オーバーを4尾上げたというこの釣り師は「でも、どういうわけかいつも50には一歩足りない」と過去の49センチをケータイの写真で見せてくれた。
「あなたが座ってるすぐ横で釣ったんだよ」
そんなことを話していると、対岸で水面をドカーンと割って巨大なモジリ。釣り師は当たり前というような顔で平然としている。なぜこんな大きな魚が多いんだろうという疑問の答えは、
「ここのヘラはね、銀山湖から連れてきたの。途中で水を替えてやったりしてね。大変だった」
銀山湖と聞いて、とっさに兵庫県朝来にある銀山湖を思い浮かべてビックリ仰天。あんなところから、わざわざ? 確かに朝来の銀山湖にもヘラブナがいる。
「銀山湖ですか・・?」
ああ、そうだった。奥只見湖のことか。
奥只見ダムが堰く人造湖だが、なぜだか湖名が二つある。おまけに山形県には銀山ダムなんてのもあって、じつに紛らわしい。
新ベラの放流はしていないというから、かなり昔に谷内池に投入された奥只見銀山湖の巨ベラの遺伝子が受け継がれているようだ。


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銀山ダム(山形県尾花沢) - 水辺遍路


ときどき雨脚が強まる。車内で池ごはん


2022年と2016年の谷内池


アプローチ路




マークした場所に駐車スペース。