水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

赤沼(岩手県八幡平)

五色沼。
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季節によって水の色が激変する神秘の沼。

八幡平湖沼群のひとつで、標高900mの山麓湿原にある沼。
御在所沼とは、あぜ道のような細く低い土手を隔てているだけなのに、二つの沼の水質は隔絶の感がある。また、岩手県でもっとも早い季節からスキーができる立地にもかかわらず、温泉成分を含む湧水のため凍結することがないという。
この湧水に含まれる鉄分、硫黄分と、バクテリアとの繊細なかけ引きが、水の色の変化を生みだし、あるときは青く澄みわたり、ときに白濁した青味があるかと思えば、晩秋には赤く濁った色を呈する。

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赤沼。奥に見えるのが御在所沼。


激しく色が変わるため「五色沼」の名が与えられているが、この名前は会津の裏磐梯や吾妻山に同名の湖沼が見られ、そちらの方が有名である。そういうこともあり、この八幡平松尾の五色沼については、もうひとつの名前である「赤沼」が御在所沼の碧い水との対比で美しいと思う。ただ季節が違えば、いったいどこが赤沼なのかという話になるので、地元の観光協会としても五色沼を正式名称にせざるを得ないのであろう。
それにしても。
まるで碧い御在所沼を赤色から守るように細い堤で隔てられているのは、いったいどういった自然の策謀であろうか。まことに不思議でならない。
またこの赤沼には、猟と釣りが大好きな畑浅左ェ門という男を、大波となって呑み込もうとした殺生戒のような伝説も残っている。

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御在所沼、赤沼にアプローチするには、売店やトイレのある比較的広い駐車場から片道25分ほどの軽ハイキングコースが整備されており、湿原の中を木道で歩く気持ちよさは格別であった。


駐車場から道を渡るとコース入口。ここに遊歩道の案内板がある。
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駐車場や遊歩道の詳細は御在所沼の項に記載した。
bunbun.hatenablog.com


周辺の湖沼マップ。水辺遍路謹製。
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マークした場所は駐車場。売店、トイレあり。