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水辺遍路

実踏・日本の湖沼 5,800湖

熊沼(岩手県八幡平)

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八幡平で「熊」といえば、歴史に残る2016年の事件。

八幡平湖沼群のひとつで、標高1200mの山麓に形成された台地に広がる原野に四つの池が穿たれている。
熊沼という名前がついているぐらいだから、岸辺を真っ黒な熊が歩いていてもおかしくなさそうな雰囲気である。
思えば2016年は熊の当たり年で、各地で熊による騒動がメディアをにぎわわせたが、八幡平といえば県境を越えた秋田側ではあるものの、四人が熊に食い殺された凄惨な事件が記憶に新しい。
国内の熊事件といえば、死者7名を出し対策のために軍まで出動したものの、けっきょく仕留めたのは地元の老マタギだったという1915年12月の「三毛別ヒグマ事件」、そして三名の犠牲者を出した1970年の「福岡大ワンゲル部・ヒグマ襲撃事件」がそれに次ぐ。
しかし平成のこの世にあって、いきなり四人が食い殺された事件が発生したのは、あまりに衝撃だった。それも上記の二件はいずれも北海道での最大で体長2m、体重300kgにもなる大型のヒグマによるもので、現在では当時のような大型・凶暴で攻撃性の強い遺伝子をもったヒグマは残っていないともいわれる。(択捉島や国後島には、まだそういった個体もいそうだが)
ところが八幡平の事件は、ヒグマどころか体長1m30cmのツキノワグマによるもので、専門家も首をかしげた。八幡平には過去に従業員死亡事故も出した秋田八幡平熊牧場があり(2012年閉園)、ここで飼われてたヒグマが逃げ出す事件もあったため、今回、四人を襲ったツキノワグマには、逃亡したヒグマの血が入っているのではないかなどという、もっともらしい噂もあった。いずれにしても、国内のツキノワグマ事件としては史上最悪のものとして長く記憶されるであろう。
「三毛別ヒグマ事件」については吉村昭の名著で、夜も眠れないほどのリアリティーに引きずり込まれる。

羆嵐 (新潮文庫)

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「福岡大ワンゲル部・ヒグマ襲撃事件」は数日間に及ぶ逃亡のあげくテントで遺体で見つかった犠牲者が手記を残していたことから、執拗に追いかけてくるヒグマの戦慄を追体験できる。

福岡大ワンゲル部・ヒグマ襲撃事件


なお、一連の事件とこの熊沼とは、まったく関係はない。
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