水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

駒飼ノ池(長野県駒ヶ根)

こまかいのいけ。
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目的は百名山登山ではなく、木曽駒ヶ岳に抱かれた三つの池と会うことなので、宝剣山荘の分岐からは主峰の方ではなく、楽そうな下りのルートをとることにした。コースタイムは駒飼ノ池まで80分となっている。

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誤算だったのは下り道ではあるものの、大昔には氷河が横たわっていた場所なので、巨大な氷に削られたガレがレの岩場は歩きにくく、意外に時間がかかった。
やがてカールの底にあたる踊り場が見えてきた。すぐそこのように見えるが、来し方を振り返ると、もう小一時間も下っているのに山荘がまだ近くに見える。池らしきものは、まだ見えない。とりあえずあの踊り場までは進むしかなさそうだ。先の長さに、がっくり。

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はしごを使う岩場を下ったりして、やっと踊り場に出た。
細い流れが岩盤の上を這い、ひとつの筋にまとまりながら踊り場の先で滝のように落ちていた。池に会うためにはどこまで下らなければならないのだろう。
反対側から来た単独登山者に、池は見ましたか、と訊ねたら、けっこう先まで下った先ですよ、とのこと。
駒飼ノ池がまだまだ先ならば、そこから60分先にある濃ヶ池は遠すぎだ。復路のことを考えると気が遠くなる。早めにあきらめた方がいいかもしれない。地図で見ると何でもなさそうに思えたが、甘かった。
と思っていると、おかしな看板が現れた。駒飼ノ池は、もと来た方向にあると指示しているのだ。
池があれば見落とそうか。しかし念のため踊り場まで引き返して、水たまりのような場所の写真を撮った。

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そのときは確証がなかったが、けっきょくこれで正解だった。現地の看板が壊れていたようだ。
駒飼ノ池(こまかいのいけ)は、氷河が消失したあとにできたカール(圏谷)内の氷食湖。雪解水や伏流水が減る秋に訪れため、ほとんど枯れた状態になっていたようだ。
そして偶然にも、上から踊り場を撮った写真が、駒飼ノ池を映す定番アングルとなっていた。水が満々としていればと思うと残念だ。

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