水辺遍路

実踏・日本の湖沼 6,150湖

湯釜(群馬県草津)

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『百名山』に「全く思いがけない不意打ちの美しさ」と記された世界一の酸性湖。

深田久弥の名著『日本百名山』に採り上げられている草津白根山。その文章の中では、山についてよりも湯釜をはじめとする火口湖の美しさについて力説しているのが印象的である。それもそのはず、湯釜は数値的には世界一を誇る強酸性湖。
湖面をたたえるエメラルドグリーンはダテではない。
しかしながら、いざ訪れたときは残念ながら火山性ガスによる規制のため、湯釜のすぐそばにある草津白根レストハウスは閉鎖状態。周辺の道路も駐車禁止規制がとられ、警備員が配置されるものものしさだった。
掲載している写真はすべて湯釜を外側から見たもの。骨のようにむきだしの岩肌が火口湖の外輪山で、その向こう側に湯釜がある。
魅惑的な水辺との直接対面はかなわなかったものの、『百名山』の名文がその魅力を語って余りある。

草津白根山は絶頂を極めて快哉を叫ぶといった山ではない。顕著な頂上らしいものもない。火口をめぐり一高一低の稜線が連なっていて、その最高点が頂上とは言うものの、この山の特色は頂上よりむしろ、断崖をなした火口壁や火口湖の妙にある。
火口湖は三つ並んでいて、中央の一番大きいのは湯釜と呼ばれ、白濁した碧色(みどりいろ)の水をたたえている。その色が実に美しい。火口壁を登って湯釜がパッと眼前に開けたと時、誰しもがおどろきの声をあげずにはおかないだろう。それは全く思いがけない不意打ちの美しさである。湖の片隅からは音を立てて噴煙が上がっている。
(深田久弥『日本百名山』)

日本百名山 (新潮文庫)

日本百名山 (新潮文庫)

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草津白根レストハウス。後ろの丘の向こうが、すぐ湯釜。
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マークした場所は草津白根レストハウス。2016年現在、閉鎖中。