水辺遍路

実踏・日本の湖沼 6,000湖

中禅寺湖(栃木県日光)

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天然湖として日本最高所にある元祖レジャーレイク。

これまで五千以上の湖沼をこのブログで紹介してきたが、ここ中禅寺湖については長らく手をつけることができないままだった。
その成り立ちや自然、文化、そして現代におけるレジャー性を含め、中禅寺湖は日本の湖沼の歴史的横綱と言い切ってよい存在である。
おもしろいことに、中禅寺湖の近代的価値を発見したのは日本人ではなく、明治時代にここを訪れた外国人によってであった。それまでわが国には宗教的に味付けされた物見遊山はあれど、中禅寺湖のような広大で茫漠たる「風景」に価値を見いだし、レジャーや文化の対象として見る文化はなかった。そういう意味で「中禅寺湖の発見」は、日本の天然湖沼に初めて外来的な「風景」を移流した事件といえるのではないかと思う。
私がオートバイの免許をとったとき、最初にめざしたのは中禅寺湖だった。1990年ごろだ。深夜に出発して日光街道を延々と北上した。その暗く孤独な夜道については昨日のことのように覚えていても、目的地だった中禅寺湖については何も覚えていないし、そもそもなぜ中禅寺湖をめざしたのかも今となっては分からない。中禅寺湖に行く、という行動だけが重要だったのかもしれない。
その後も数え切れないぐらいオートバイで中禅寺湖に行った。ただ、一枚も中禅寺湖の写真が残っていない。不思議なものだ。初見から四半世紀以上、何度行っても、会ったその相手の顔が思い出せないのだ。
今となっても中禅寺湖に対しては、そんなことしか言えない。いつか何か言えるようになるかもしれないし、ならないかもしれない。
中禅寺湖は誰をも受け入れてくれる。けれども、心を開くことはない。

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釣りの対象魚となるトラウト類は、すべて放流によるもの。

中禅寺湖には、もともと生息魚類はいなかったのではないかという意見もある。魚が行き来できる下界とは華厳の滝が厳然と立ちはだかり、天上の湖は動物を捕食する者にとっては標高が高すぎて餌となる生物が少なすぎるのだ。
現在、中禅寺湖に生息するブラウントラウト、ホンマス、ヒメマスなどは人の手で移流されたものの子孫である。ヒメマスは支笏湖から移流し、現在では国内最大の繁殖地となっている。ヒメマスはベニザケが陸封されたもので、マス類ではもっとも美味とされる。もとは阿寒湖原産。のちに支笏湖に移流された歴史をもつ。
福島の原発事故以来、放射能の問題で禁漁がつづいていたが、現在は釣り場として復活している。
広大な水辺ゆえ、中禅寺湖らしい中禅寺湖をファインダーにおさめることのできる場所は少ないが、半月山展望台は、中禅寺湖を見おろす絶景ポイントとして、ぜひとも行きたい場所である。

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マークした場所は中禅寺湖の絶景ポイントである半月山展望台の駐車場。