立地、環境、雰囲気がよく、改修前の姿はこれぞ「津山の里池」と呼びたくなる野池だった。
名前もいい。しかしながら「鴻池(こうのいけ)」といえば、摂津(兵庫県伊丹)の豪商の名で地名にもなっていたり、大阪ルーツのゼネコン「鴻池組」、はたまた奈良県奈良市にあるへらぶなと鯉の老舗釣り堀に「鴻池釣堀」もある。
津山といえば『八墓村』『犬神家の一族』など、作家・横溝正史のミステリー群に通底する世界観が培われたとされる農と山の里。現在は市街地化も進んでいるものの、里山の方に行けばまだまだ横溝正史が見ていた里と近い空気がありそう。
冒頭の2016年の写真では、自転車で釣りに来た少年たちの奥に里と山が広がるのどかな風景。一方、下の2021年の写真では護岸がコンクリート化され、津山特有の共通看板「ブチあぶない」やフェンスが追加されていた。
- 作者:横溝 正史
- 発売日: 1971/04/26
- メディア: 文庫