水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

すまずの池(兵庫県丹波)

神池寺(じんちじ)。
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小僧さん連続失踪の怪。妙高山頂に枯れず澄まずの水をたたえる不思議な池。

妙高山といえばまず新潟を思い浮かべる。なんせ日本百名山のひとつだし、市の名前にもなっていて、2015年には国立公園にもなった。新潟銘酒の名前でもある。
だからここ丹波で「妙高山」といわれても、どうもしっくり来なかった。
しかしこちらは小ぶりながらも山頂近くに聖武天皇ゆかりの古刹・神池寺(じんちじ)を戴く千年の霊地である。その霊験の高さから丹波比叡とも称されるというから、なるほどそう言われてみれば平成になって指定された国立公園と比するのは失礼でした。
急峻な3m舗装路を上りつめると広い場所に出る。神池寺の門前の駐車場。登山者への協力金を求めるお賽銭箱のような箱があった。
寺の向かい側は小さな畑になっていて九輪草が咲いていた。
案内板にあった「すまずの池」という名前に心が躍る。
「棲まず」なのか「澄まず」なのか、はたまたまったく違う意味があるのか分からないから、ちょっとどきどきする。
学校のような敷地の奥に、その池はあった。庭池のような石囲いの小池。近づくと、立てつづけにどぼんどぼんと水音がした。早すぎて正体が分からなかったが、岸の石にそうっと近づくと真っ黒いヒキガエルだった。
どうやら「棲まず」の池ではなさそう。
山頂近くにありながらけっして枯れることがないかわりに、いつも赤く濁っており、澄むことのない池という意味で「澄まずの池」という話である。
伝説によれば、修行で寺に来ていた小僧さんがたびたび行方不明になる。調べてみると池横の鐘つき場で大蛇にさらわれていた。寺は一計を案じ、小僧さんの姿をした人形に毒を仕込み、大蛇を退治。その際に大蛇が吐いた血が池を赤く濁らせたのだとか。寺の方に残された話には別の結末もあって、法力によって大蛇は竜へと昇華したことになっている。

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九輪草が咲いていた。
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池に近づくと、立てつづけにドボン、ドボンと音がする。何かと思ったら、真っ黒いヒキガエル。
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神池寺と駐車場。手前に見える箱は登山者協力金用。
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池の近くにある舗装駐車場。トイレあり。
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マークした場所は駐車場。