水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

備中湖(岡山県高梁)

新成羽川ダム。しんなりわがわだむ。

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重力式アーチダムでは日本一の秘境ダム。

秘境の様相をもつダム湖。それもそのはず、このあたりの陸路はかつて日本屈指の難所であり、備中・備後北部で産する鉄を運ぶために鎌倉時代に水路が切り拓かれ、その記念碑である笠神(かさがみ)の文字岩(もじいわ)は、「わが国の水運開発史上最古の記念碑」とされている。
また、堰体はアーチダムの中でも日本では希少な重力式が採用されており(重力式アーチダム)で、この形式のダムとしては国内唯一の100m超の堤高をもち、日本一となっている。

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水運史上最古の記念碑が湖底に眠る。

新成羽川ダムの完成によって人造湖である備中湖が生まれると文字岩は湖底に沈んだ。現在は堰体下流側の県道沿いにレプリカが安置されている。
それにしても半端じゃない秘境感。苦労してたどり着いたと思ったら、土砂崩落で堰体下流側の道路が右岸左岸ともに通行止め。迂回ルートとして工事看板に記されていたルートは厳しい山岳路が40km以上・・。

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この山深いダム湖でも釣りをしにくる気合の入った人はいるもので、ブラックバスではランカーフィールド、へらぶなでは50上もしばしば報告される巨べらフィールドというもっぱらの評判。ほか漁協によりワカサギも定期放流されている。
ダム湖が県境をまたいでいることからボートに関してはルールが二分しており、広島県側は全面禁止、岡山県側は可能ということですが、入漁券を含めた詳細は事前に地元漁協に確認した方がいいだろう。


西山高原にはロッジや遊具も。
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湖のワンドのひとつをまたぐ橋にさしかかったとき、橋の真ん中の路上にクロアゲハが二匹いてゆらゆらしている。手前でハイエースを停めると、ようやく一匹が後ろ髪をひかれるように去って行った。残された一匹を見ると、まさに虫の息の状態で動けないようだった。
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